礼文島
◆ 山行記録
山行概要
報告概要 利尻岳登頂後、ついでに礼文島に行ってきました。
山行日 2018年8月5日~7日
礼文島にて
天気 8月5日  晴れ、微風
8月6日  晴れ、微風
8月7日  晴れ、微風
企画 個人企画
装備 7-8kg
同行者 単独行
コース
概要
桃岩展望台コース散策、定期観光バス岬めぐりコース(澄海岬、スコトン岬)
行動記録
【8/5(日)晴れ、微風】
鴛泊(15:20)🚢🚢🚢香深(16:15)
【8/6(月)晴れ、微風】
■桃岩展望コース散策
宿舎「花文」(8:00)→展望台登山口(8:30)→分岐(8:45)→展望台(8:57,9:05)→元地灯台(9:50,10:10)→知床(10:40)→北のカナリア(10:50,11:30)→第二差閉(11:45,12:08)==フェリーターミナル(12:20)

■礼文島観光バス
フェリーターミナル(14:05)==澄海岬(14:40,15:00)==スコトン岬(15:20,15:50)==フェリーターミナル(16:30)
【8/7(火)晴れ、微風】
香深(8:45)🚢🚢🚢稚内(10:40,11:20)==稚内空港(12:00, 13:00)✈✈✈羽田(14:55,15:10)+++川崎+++自宅(16:30)
行程図

国土地理院地図より作成
天気図
【8/5(日)】 日の出 4:24, 日の入り 18:59  晴れ 24.2℃/14.4℃, 53%, 東北東 5m/s, 降雨量 0.0mm,
   
【8/6(月)】 日の出 4:25, 日の入り 18:58  晴れ 24.8℃/15.9℃, 67%, 北東 5m/s, 降雨量 0.0mm,
   
【8/7(火)】 日の出 4:26, 日の入り 18:56  晴れ 24.5℃/15.8℃, 65%, 北西 3m/s, 降雨量 0.0mm,
   
Yahoo!天気情報 過去の天気より転載 @宗谷地方(稚内)
◆ 山行資料
アプローチメモ
交通手段 ・ハートランドフェリー(鴛泊→香深):       900円
・宗谷バス(第二差閉→フェリーターミナル):    220円
・礼文島周遊観光バス(Bコース):        3,100円
・ハートランドフェリー(香深→稚内):      2,470円
・バス(フェリーターミナル→空港):        600円
・航空券(稚内→羽田):             21,270円(スマートシニア割)
宿泊 ・花文     素泊まり  5,500円
温泉 うすゆきの湯   日帰り入浴   450円(回数券)
◆ 日誌と写真
行動日誌
 礼文島といえば以前一緒に仕事したN君を思い出す。
 彼は礼文島出身で、お兄さんが礼文島で民宿をしている。彼は私が百名山をやっていることも知っており、利尻岳に行くときは連絡してよ、と言われていた。私も利尻岳を登った後は、お花で有名な礼文島に渡ってお兄さんの民宿に泊まって美味しい海の幸でも味わいたという思いがあった。また彼が9月に礼文島に行くと言っていたので、それでは彼に合わせて9月に利尻岳に行き、それから礼文島に行こうかとも頭によぎった。でも、彼の予定に合わせて行って果たしてお天気に恵まれるかどうか。
 今回は天候最優先で利尻島に来てしまい、はたまた急遽礼文島に渡ることになって、彼には申し訳なくさっそく利尻岳からの帰りにLINEで彼に利尻岳を登頂したこと、それと礼文島に行くことを知らせた。彼からはさっそくお兄さんの宿を確認して、残念ながら空きがないとの返事があった。そんなこんなでまったく予期せず、はたまたお天気のいいことから急に行くことになった礼文島、果たしてどういう旅になることやら。。。
【8/5(日) 晴れ時々曇り、微風】
 さて礼文島に行くフェリーの船内で、鴛泊のフェリーターミナルでもらった利尻島・礼文島の観光パンフレットをめくり、礼文島のことを調べる。確かお花畑の草原歩きが楽しめるはずというくらいしか予備知識はない。そのパンフレットを見てみると北から南までいろいろなコースが設定されている。キャンプ場はフェリーターミナルの近くにはなく、バスで行くようである。幸いにも温泉はフェリーターミナルから3分のところとあった。礼文島に着いたらさっそく今夜の宿を確保して温泉に入りたいと切に思った。
 やがてフェリーは香深(カフカ、なんか哲学的な響き)と呼ばれる港に到着。さっそくフェリーターミナルの観光案内所に行って今夜の宿がないか尋ねてみた。案内所には若い兄ちゃんがいて、持っていたパンフレットを見せると、その中の宿リストで今夜空いているところに〇印をつけてくれた。後は自分で電話して予約しろ、ということである。ちなみにN君の宿を尋ねると「空いてないね」のさりげない返事。
 まずリストで〇のついた一番最初の宿、「花文」というところに電話する。おばちゃんが出てきて泊まりたいと言うとすぐにいいよとの返事があり、場所もフェリーターミナルのすぐ前ということでさっそく申し込む。心配した割にはあっけなく今夜の宿は決まった。
 フェリーターミナルは乗船客がもうどこかに散らばってしまったのか閑散としていた。フェリーターミナルの前のお土産屋も閑散としている。宿はこのお土産屋の並びということで、見渡すと黄色看板で「花文」という文字が目に入る。さっそくそこの玄関を開けて声をかけるとすぐにおばちゃんが出てきて、宿泊を告げるとさっそく2階の部屋に案内してくれた。素泊まりしかやっていないとのことであるが、当てがわれた部屋は6畳ほどですでに布団が敷かれており、窓のそばにちっちゃなテーブルとテレビがある。窓からはフェリーターミナルのビルが通りを挟んで丸見えの港に面した宿である。今夜もテント泊かと覚悟していた僕には十分過ぎる部屋であった。ただお客さんは他にいないのか閑散としていた。

利尻島を後にする

ちゃんちゃん焼き
 さて荷物を置いて着替えを持ち、宿のおばちゃんに温泉に行きたいと告げると回数券をくれた。また素泊まりなので明日の朝食の買い出しにどっかお店はないか尋ねたが、そうねと考え込んだあげく果たして売っているか知らんとのこと。確かコンビニが一軒あると聞いてるよとさらに尋ねると、おばちゃんはとても歩いていけんよとのつれない返事であった。とにかく温泉へ行く。そのうち途中のどっかでパンでも売っているかもしれない。
 温泉の「うすゆきの湯」、建物も立派で中も広々としてりっぱな温泉である。露天風呂からは雄大な利尻岳が眺められる。一風呂浴びて、明日の朝食を求めてロビーや外に出て一番賑やかに思える香深の町をぶらつくもどこもパンなど売っていそうな店はない。もともと店というものがない。仕方なしに宿に帰るとおばちゃんから明日朝食を食べるお客さんがいるからついでに作ってあげると言われた。お値段は1,000円とちょっと高いと思ったが、利尻島でまともな食事をしていないので喜んで承諾する。
 一風呂浴びたし、この宿も隣りでラーメン屋をやっているが、そこで食べることもできるが、せっかくなので礼文島の町をぶらつくがてら、スマホで調べた居酒屋に行く。歩いて10分ほどのこじんまりした店で炭で魚介類を焼いて食べる店である。おじいちゃんと若い兄ちゃんの二人でやっていて、客が2組くらいいた。ウニは時価とあるのでおそらく高いだろうと思い、となりの客が食べている「ちゃんちゃん焼き」を注文した。ホッケにお味噌をくっつけて食べるだけであるがご飯とよく合い、これまでの貧弱な食事と比べるととてつもなくおいしくと感じた。さてと、明日はどこに行くか、食べながらあの観光案内所でもらったパンフレット、それと携帯スマホによる情報を頼りに計画を練った。
 南の方のコースは4時間とあり、とりあえず午前中は南の「桃岩展望台コース」を歩いて、午後は北の方の最果ての岬、スコトン岬に行くこととした。バスで行くか、レンタカーを借りていくか、そこは明日決めよう。呑み屋からの帰り、利尻富士を見るとその横に光るものがあり、宵の明星にしては東側だし飛行機かなと思ってみていたが、一向に動かないのでスマホのアプリで確認するとなんと火星であった。ついこの間火星の大接近がニュースになっていたが、まだあんなに明るい。今日は布団の中でゆっくり休める。
【8/6(月) 晴れ時々曇り、微風】
 朝飯が7時からということで隣の食堂に行くと私の他に3人の旅行客がすでにテーブルに座っている。テーブルに座ると目の前にすごい品数の料理が並んでいる。焼き魚から明太子、納豆、おひたし、卵焼き、サラダなど数々の品数で、これで1,000円は安すぎる。こちらもこれまで栄養を付けていなかったのですべてたいあげる。また普段ご飯もはお椀半分くらいで済ましているのにお代わりまでしてしまった。腹いっぱいになってしまって横になって休みたい気もしたが、8時には「桃岩展望台コース」を散策すべく宿を出た。
 8時だというのに町はひっそりしていて誰も歩いていない。太陽がさんさんと降り注ぎ、海はきらきら輝いている。地図を頼りに海とは反対側の内陸に向かって歩く。ほどなくして、展望台入り口の標識があった。
 平日のせいなのか誰も歩いていない。入り口から普通の山道であるがしばらく沢筋に沿って歩く。わずかながら登っていく。展望はあまりないがそのうち右手の方に草一面のもっこりした山が見えてきた。あれば桃岩なんだとうかと思いつつ車道から登ってくる道との分岐を通過して展望台に出た。

分岐

ここから一面のお花畑
 展望台に出てみると、わぁ~い、なんと素晴らしい景色が広がっているではないか。切り込んだ岩肌の下には真っ青な海、礼文島のなだらかな山肌がのどかな雰囲気にさせてくれる。それに利尻富士がで~んと海の上に浮かんでいる。

展望台からの眺め

展望台
 展望台ではひとりの若者がいたが、歩かないのか高原に続く道を踏み出すのは私ひとりである。こんな景色の中を歩かないとはなんともったいないではないか。なだらかな緑の草原に1本道がどこまで続いている。

極上の湧き水、峰秀水

お花畑の絶壁、キンバイの谷
 ほんとにどこを撮っても絵になる風景。それにお花畑、風が心地よい。そのうち遠くの方にひとり歩いている人を見かけた。

下は元地海岸、漁港になっている

どこまでも続く草原の道
 どうして木がないのであろうか。そういえばスコットランドやアイルランドに行った時と同じような風景、つまり森とこのような草原がはっきりしていた。北国はあまり森は育たないのか、あるいは風が強いせいか高い木が育ちにくいのか、とか思っていたが、ある記事で礼文島で昔山火事があったので、木を植えているようなことが書いてあった。それにしてもこのように島全体が樹木で覆われていたとも思えない。

歩いてきた道が見える

礼文島西海岸線
 そんなことをつらつら考えながら高原の道を進むと灯台が見えてきた。そこになぜかカップルがいる。灯台に着いてお邪魔になったのかなと気にしていたら、男の方から写真のシャッターを頼まれ、2人の記念写真を撮ってあげる。きっと良い思い出写真になるでしょうよ。

元地灯台

元地灯台と利尻富士
 それにしてもずっと利尻富士が海の向こうで輝いている。草原と利尻富士、灯台と利尻富士などいろいろな組み合わせ、アングルで写真に収める。灯台からは一直線に道は知床漁港まで下っている。漁港につくと、今度は湾内の正面に利尻富士、その前をカモメが羽ばたく。また映画のロケ地であったという場所からは小さな学校と利尻富士、礼文島は利尻富士があって景色がさらにもアップされているところである。

知床漁港より利尻富士

映画「北のカナリア」ロケ地より利尻富士屋
 写真ではあまり高山植物が分かりにくいが、のんびり歩いているので自然と道端に咲いている高山植物を撮ってみた。名前は後で、観光案内所からもらったパンフレットを参考に記載した。それにしてもこのパンフレット、ほんとに役に立つ。

レブントウヒレン

トウゲブキ

エゾカワラナデシコ

コガネギク

レブンウスユキソウ

ツリガネニンジン
 「桃岩展望台コース」の終点の第二差閉のバス停に着いたが、バスの時刻まで20分ほどある。人の気配がない漁港を覗くと漁師がのんびり漁網の繕いをしていた。湾内にはカモメがのんびり羽を休めている。バス停に戻ると自分探しの旅をしていそうな女性が一人下りてきた。
 バスでフェリーターミナルに戻り、午後をどうするかつらつら考えるにレンタカーを借りてドライブする手もあるが、少々疲れているし、ターミナルの食堂で昼飯とともにやはり生ビールも注文してしまい、これでもう定期観光バスのツアーを選択せざるを得なくなった。
 さて定期観光バスであるが、5分前にバスに乗り込むと数人しか座っていないので、2階の窓際に席をとった。これでゆったり観光旅行かなと思っていたら、そのうちだんだん人が乗り込んできてほぼ満員状態。中には韓国からか外国人もちらほら。2階席を確保できてよかった。1階席では眺めが半減である。ベテランのバスガイドで話が結構面白かった。バスは海岸線に沿って北の方に向かう。途中日食観測記念モニュメントや久種湖を経て澄海岬に到着。そこで岬まで登って岬見物。目の前に現れたのは美しい湾を囲む荒々しい海岸。海が透き通っている。

澄海岬

澄海岬
 例のパンフレットによれば岬めぐりコースや8時間コースと呼ばれる散策コースがあるが、観光バスでは名所に一気に来てしまい、景色をみたら駐車場にある売店に誘導という感じになる。もっとも私も観光客になりきっていて土産物屋の「タコザンギ」なるものをいただく。少々しょっぱい。次に向かったのはスコトン岬。 漢字では須古頓岬と書く。

澄海岬より礼文島西海岸を望む

ウミネコの鳴き声が聞こえる
 スコトン岬についてガイドに案内されて展望台まで行くとアザラシが昼寝しているとのことであったが、よく分からなかった。岬の向こうにトド島。冬にはトドが来るらしい。ここも天気が良くて水平線まで見渡せ、心地よい。観光客になりきっているので、売店で昆布アイスクリームをほうばり、土産に昆布ラーメンを購入した。

スコトン岬からトド島

夕焼けの利尻富士
 スコトン岬からバスはフェリーターミナルまで海岸線に沿って走る。途中眠くなって起きてみるともうターミナルに近づいていた。さてと、スコトン岬からの帰りバスの窓からからNさんの兄さんの宿を探していたがちょっと分からなかった。するとLINEで、スコトン岬にもっとも近いところであるとのことであった。宿から夕日も見えるそうで、また星がきれいにみえるとある。一度泊まってみたい気になる。
 宿に帰って、温泉で汗を流したらもう疲れてしまったので、晩飯は面倒なので宿の食堂で食べる。おばちゃんから明日の朝食をどうするって言われたが、ターミナルからの帰り土産店で牛乳とパンを買ってしまった。なんか作ってくれそうであったが、パンと牛乳で我慢すると返事する。今日も温泉で一風呂浴びた帰り道、夕日に照らされた利尻富士が美しかった。
【8/7(火) 薄曇り、風強い】
 昨晩は両隣の部屋に宿泊客がいて少々の賑わい。朝はパンと牛乳、それに宿に置いてある粉末コーヒーで済ませる。宿に礼を言って目の前のターミナルに行くとすでに旅行客で賑やかである。デカザックの者も数人見かける。
 フェリーがターミナルを出港する時、どこかの宿の人なのか見送りに来ていて乗船しているグループに対し応援エールをしていた。船が港を離れる時、アナウンスと汽笛、それに応援エールを聞きながら、なぜかじ~んと胸にくる。今日も海も空も青い。その中、波がしらを残して礼文島が離れていく。

見送りのエール

さよなら、礼文島
 甲板のイス席には白人の中年女性が座っている。日焼けを気にしているのか白いカーディガンを羽織っている。先ほどまでは学生風の白人女性が本を読んでいた。こんなところで外国人、それも西洋人を目にするとは思わなかった。礼文島は穴場的な存在なのかもしれない。ぼーっとしていたら職場にメールするのを忘れていた。今日は年休ですよ~。

利尻島もさよなら

納沙布岬の自衛隊レーダー基地
 横に利尻富士を眺めながら、やがて礼文島の利尻島も小さくなって青い影になってしまった。 かわりにノシャップ岬の自衛隊のレーダー基地が近くに見え出す。 このレーダー基地、あの大韓航空機事件の時、当時のソ連軍戦闘機の通信を傍受したことで有名。まさに北の防人といったところか。 このハイテクの現代ではどのような通信技術が使われているか同業者として気になった。
感想
  礼文島の地名の由来はアイヌ語の「レブン・シリ」=沖の島という語源からきている。沖の島以上に美しい島であった。また利尻富士がずっと風景の中に入っている。利尻岳に登った後だけに山肌ひとつもにも感慨深い。礼文島で歩いてみた風景と観光バスに乗って観光スポットで見た風景、どちらも美しいには違いはないが、やはり歩いてみる景色に感動を覚える。汗を流し努力の後に眺める風景には、思いがこもっている。

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