皇海山(すかいさん)
◆ 山行記録
山行概要
報告概要 北関東の百名山である皇海山(2,144m)に行ってきました。
山行日 2017年6月17日(土)~18日(日)
庚申山より皇海山
天気 6月17日 曇り、微風
6月18日 曇り、微風
企画 KMT
装備 3-4kg
同行者 Kさん、Mさんの総勢3名
コース
概要
銀山平→庚申山荘→庚申山→鋸山→皇海山→鋸山→六林班峠→庚申山荘→銀山平
行動記録
【6/17(土)晴れ、微風】
自宅(8:05)==東大和市(9:15)==川越市(10:30)==川越IC(10:45)==伊勢崎IC(12:00)==銀山平(14:10)

銀山平(14:15)--1:00--一の鳥居--0:50--庚申山荘(16:40)
【6/18(日)曇り、微風】
庚申山荘(4:00)--1:00--庚申山(5:25,5:35)--1:00--薬師岳(6:43,6:50)--1:00--鋸山(7:50,8:00)--0:40--コル()--0:30--皇海山(9:20,9:30)--0:30--コル(10:00)--0:40--鋸山(10:40,11:00) --0:50--六林班峠(11:50,12:00)--2:10--見晴らし分岐(14:35)--0:15--庚申山荘(14:50,15:25)--0:50--一の鳥居(16:15)--0:50--銀山平(17:10)

銀山平(17:30)==水沼温泉(18:30,19:00)==川越市(20:50)==東大和市(21:45)==自宅(20:50)
行程図
天気図
【6/17(土)】 日の出 4:22, 日の入り 19:01  曇り、26.3/14.4℃、湿度 50%、南南東 5m/s、降水量 0.0.mm
   
【6/18(日)】 日の出 4:22, 日の入り 19:01  曇り、23.3/16.0℃、湿度 54%、北 3m/s、降水量 0.0.mm
   
Yahoo!天気情報 過去の天気より転載 @栃木県南部(宇都宮)
◆ 山行資料
アプローチメモ
交通手段 ・関越道・北関東自動車道  川越IC→伊勢崎IC:    ¥1,800
温泉 水沼駅温泉センター:    ¥480(JAFF割引)
◆ 日誌と写真
行動日誌
 5月の鳴神山で、また6月の中禅寺湖の社山、黒檜岳から見た皇海山が気になっていた。 百名山でもありなんとか制覇したい山のひとつであるが、アプローチで悪路で曲がりくねった林道を1時間半要し、ネットによればすれ違いも難しいほど狭く、また道の上に落石が転がっており、 車体の底をする、またパンクする覚悟が必要とのことで、とてもマイカーでは遠慮したいと思っていた。 そう思っているところKさんから、それなら庚申山、鋸岳から行こうとの話になり、こちらはなんとかルート的に優しい群馬県側からと思っていたが、 Kさん曰く、すでに一度そのコースは行った、面白くないとのことであった。
 となるとKさんのご希望通り庚申山経由で行こうかという気になるもそこは少々危険を伴うルートであり、また行程も長い。 ネットで調べてみると、もう2度と行きたくないとか、あるいは思ったほど危険ではないとか、とにかくいろいろな報告がある。 私の山登りの実力を知っている会社の山の先輩に聞いたら、面白いから行ってこい、との返事。ということで、覚悟していくこととした。
 いつものメンバーではTさんも同行することとなった。行程としては1泊2日で庚申山荘に泊まることとなる。 小屋泊まりであるが、岩登りと長時間の行動に備えて山荘にふとんがあることを期待してシュラフなし、食料もできる限り少なくして軽量化を図った。
【6/17(土) 曇り時々晴れ、微風】
 初日の行動は登山口から庚申山荘まで2~3時間なので、朝の8時ごろ自宅を出て、Kさん、それにTさん宅にそれぞれ立ち寄る。 それから栃木県に向けて、途中桐生市のスーパーで弁当買ってスーパー入口のベンチで食べ、登山口の銀山平に午後2時ごろ到着した。天気はまずまずである。
 さっそく身支度して庚申山荘に向かう。最初は林道を1時間ほど歩き、右手に一の鳥居が見えてきたら、そこから沢沿いの道を上っていく。 うっそうとした樹林帯の道を上っていくと、途中鏡岩とか蛙岩とか巨石がある。1泊装備であるが、軽量化で荷物が少なくしたせいか思ったよりも苦しまずに山荘に到着した。

銀山平の皇海山登山口

鏡岩で休憩
 山荘では団体客もいたが、我々3人は2階を使っていいよという山荘の管理人の一言で、広い2階で我々だけで思い思いに布団を敷いた。 さっそくKさんが持ってきたというワインを1本開ける。晩飯は、私の方は期限切れのアルファ米にボンカレーというシンプルなもの。 小屋のおじさんが酒を呑んで話し相手を探しているようなので、下に降りて一緒に酒を飲みながら飯を食う。聞くとおじさんはもと地元の消防士だったとのこと。 頼まれて週末だけ山荘に勤務しているとのことであった。持ってきたという缶ビールを何缶も開けていたが、そのうち今日わざわざ持ってきたという日本酒の1升瓶も出てきた。 なにしろお神酒だそうで「赤城山」という辛口の地酒である。明日のこともあるので、味見程度呑ませていただいた。そのせいかその日はぐっすり寝ることができた。

りっぱな庚申山荘

鹿が物欲しそうにこちらを見つめている
【6/18(日) 曇り、微風】
 朝3時半起床。簡単に朝食を済ませて4時に出発。まだ少々薄暗かったがヘッドライトをつけるほどでもない。しかし庚申山に登る登山口が分からない。 山荘の裏手を探すも道らしい道がない。そこは落ち着いて登ってきた道を辿ると庚申山に続く道標あり。
 しばらく山道であったが、途中から大きな崖に阻まれたり、梯子とか鎖、ロープなどがあるが、危険を感じるほどではなかった。ただ滑ったらただでは済まない箇所が多々あり。
 1時間そこそこで庚申山の山頂に到着。しかし展望はなし。 山頂の標識から、さらにちょっと先に進むと展望台があり、そこからこれから行く薬師岳、鋸岳、それに最大の目的である皇海山の全貌が見渡せる。天気はあいにく薄曇りで日差しはない。 ふもとをみると雲海が広がっていた。

庚申山の登りにて

見通しのきかない庚申山山頂
 さて庚申山から鋸山までは昭文社の「山と高原地図」では点線ルート、身が引きしまる。まずは下るのであるが、道は結構しっかりしている。 赤テープ、県境印を目当てに辿ると道迷いはない。先々週行った日光中禅寺湖の社山~黒檜岳ルートの経験がものをいう。 薬師岳までは少々アップダウンはあるもののほぼコースタイム内で問題はなかった。

庚申山から皇海山

庚申山から稜線をたどって薬師岳
 さて薬師岳からいよいよ本日の核心部分になる。薬師岳山頂からちょっと下ったところに見晴らしがいい場所があり、そこからこれから進む鋸山の険しい斜面が見える。 どこをどう上るのか道は見当たらない。たぶん崩れている斜面の端を這い上がっていくのだろうと思われる。ストックはしまい込んで、靴紐を固く締めていざ出発。
 最初は鎖のついた10m程の岸壁を降りる。鎖を頼りにはじめは足元が見えて足場も確保できていたが、そのうち角度も急になり足元が見えなくなり、手で鎖だけに頼る体制になりかけてヒヤっとしたが、すぐ壁が終わって地面になっていることが分かりホットする。

いよいよ核心部に入ります。あの崖を登ります

まずは下ります
 崖を降りると笹の道をトラバースして、斜面に取り掛かる。まずはロープを頼りにきつい傾斜地を登っていく。そのロープであるが、なぜか弱々しい。 出来る限りロープを頼らず3点確保で登っていく。ただホールドは岩というよりはシャクナゲの枝とか木の根っこを頼りにする箇所が多々あり、これらのホールドが崩れたらもろとも転落しかねない。 また急斜面を登ることにより、一歩登るごとに息が荒くなる。

下からみるとこんな感じです

いったいどこを登るのやら
 途中普通のはしごが無造作に置かれていたり、狭い痩せ尾根を辿ったり、緊張の連続、それにきついアップダウンで体力が消耗される。 最後にシャクナゲの藪を突き進んでやっと開けた鋸山に到着。ようやく緊張がほどけたせいか精神的にも体力的にも楽になった。

普通のはしごが無造作にかけられている

痩せ尾根
 鋸山から皇海山までピストンとなるので、余計な荷物はここにデポしていく。KさんとTさんはふたりでザックひとつにまとめ代わるがわる担ぐという。 こちらは、食料などわずかばかりの荷物を置いて、そのままザック担いで行くこととした。
 鋸山からはまず急激な下りとなる。ここの稜線には登ってくる人ともすれ違う。この急な坂でのすれ違いも滑らないよう気を使うが危険というほどではない。 その後、皇海山のメインルートである群馬県側からの登りと合流する不動沢のコルに着く。そこには老若男女の大勢の登山客が休憩を取っていた。 群馬県側の登山口へのアプローチは強烈な悪路であったはずなのであるが、このような大勢のハイカーらしい登山客に出会うと、さすが百名山の威力である。老いも若きも百名山という訳か。
 皇海山への登りは、深い森の中の道でひたすら登ると言った感じで、ロープを張った岩場もある。ほどなくして、劔の標識が見えてすぐに皇海山山頂となる。 山頂はやはり木々に囲まれていて眺望が良くない。木々の間から日光白根山、男体山が見える程度であった。

やっとの鋸山山頂、皇海山が望めます

展望のきかない皇海山山頂
 皇海山から元来た道を引き返すが、こんどは鋸山の登りがきつかった。
 鋸山で荷物を回収し、さっそく六林班峠に向かう。鋸山から誰もついてこず、我々だけのようだ。看板には単独行は禁止とある。 最初は笹原を下って稜線歩きが楽しめたが、途中から笹原がだんだん密生した状態となり、手でかき分けて進むようになる。 足元が見えないばかりか倒木もあり、ルートが分かりづらい。

こんな笹藪を行きます

六林班峠、峠というよりも標識があるだけ
 六林班峠まではほぼコースタイムどおりであった。そこからは長いトラバースの道のりであるが、相変わらず笹がおおい茂っている。 道が分かりづらいばかりか、さらにその道が谷方向に傾斜しているので靴底が水平でなく難儀する。途中何回も沢すじを超える。 その中には写真にあるように崩壊した箇所もあり、細いロープが1本かろうじてかけられているだけ、それを話すとおそらく20~30mは滑落してしまうかもしれないような箇所もあった。 コースタイムでは2時間で見晴らし台への分岐に着くはずであるが、なかなか到着しない。2時間10分かかってやっと到着したのにはさすがにほっとした。

沢が崩れ去っている。細いロープが頼り

この分岐まで長かった
 地図ではこの分岐から庚申山荘まで20分とあるが、15分ほどで到着。そこでは小屋のおじさんが焚火をしていた。
 これでほぼ本コースの山場を越えたという安堵感で、山荘の前のテーブルで遅い昼食をとった。 テーブルの隣には家族連れの一行が食事をとっており、そのグループのおばさまからきゅうりの浅漬けをもらう。 とても山に行くような感じのしない高級住宅街で見かけるおばさまという感じであった。
 さて昼食をとっていざ駐車場まで下る。ここ山荘を午前4時に出発して、今午後の3時半、すでに11時間以上行動していたことになるが、車が置いてある銀山平の駐車場までまだ2時間は要する。 先は長い。
 結局、銀山平の駐車場には午後5時10分着。

庚申山荘に戻ってきました。ただここからも銀山平まで2時間

やっと無事銀山平の駐車場に戻ってきました。くたくた
 本日の行動時間、朝4時に小屋を出発して、銀山平到着が17時10分、なんと計13時間強であった。
感想
 これまで北関東の赤城山、上州武尊山から、また5月に行った鳴滝山から遠く仰ぎ見た皇海山。北関東上州に位置する奥深い皇海山をやっと登ることができた。 それにしても、いやはや長い行程であった。また途中岩あり、ブッシュありで誠にしんどい山行であった。また皇海山そのものも山頂からの眺望もよくなく、まったくもって地味な山である。 ネットではこのコースはもう2度と行きたくないという書き込みもあったが、私自身ももう2度と来ないであろう。ただ紅葉のシーズンに庚申山荘に1泊するっていうのは最高であろう。 沢筋に広葉樹が多いだけにきっと美しいに違いない。
 この皇海山、鋸岳ルートは、深田久弥も通ったといういわゆるクラシックルートで、今の時代よりはもっと厳しいルートであったに違いない。 まあ現代でもまあまあ厳しいルートであることには変わりないが、久しぶりのきつい山行で本当に皇海山を制覇したという達成感を味わうことができた。 これで関東地区の百名山で残すは日光白根山だけになった。

 ホームへ