空木岳(2,864m)
◆ 山行記録
山行概要
報告概要 中央アルプスの百名山、空木岳に行ってきました。
山行日 2019年9月26日(木)~27日(金)
空木岳山頂にて
天気 9月26日 晴れ、微風
9月27日 晴れ、微風
企画 個人企画
装備 5-6kg
同行者 N先輩
コース
概要
宝剣山荘→宝剣岳→檜尾岳→熊沢岳→東川岳→木曽殿山荘
木曽殿山荘→空木岳→駒峰ヒュッテ→駒石→ヨナ沢の頭→池山小屋→タカウチ場→林道終点→菅の平バスセンター

行動記録
【9/26(木)晴れ、微風】
宝剣山荘(5:15)→宝剣岳(6:10)→三ノ沢分岐(13:25)→極楽平(14:00)→濁沢大峰(12:15/12:30) →檜尾岳(13:00)→大滝山(13:25)→熊沢岳(13:25)→東川岳(13:25)→木曽殿山荘(15:10)
【9/27(金)晴れ、微風】
木曽殿山荘(5:30)→宝剣岳(6:50/7:30)→駒峰ヒュッテ(7:35)→駒石(8:00)→分岐(8:20)→ヨナ沢の頭(9:10) →マセナギ(10:15)→池山小屋の水場(10:40/10:50)→タカウチ場(11:40)→林道終点(11:45)→登山口(12:20)→菅の台バスセンター(12:40)

菅の台バスセンター(13:00)--こまくさの湯(13:10/14:00)==N先輩宅(15:00)
行程図


国土地理院地図より作成

天気図
■9/26(木) 日の出 5:39, 日の入り 17:43  晴れ 25.1℃/14.9℃   0.0mm
   

■9/27(金) 日の出 5:39, 日の入り 17:43  晴れ 25.1℃/14.9℃   0.0mm
   
天気図、衛星画像 日本気象協会より転載 @長野
◆ 山行資料
参考情報
山小屋 木曽殿山荘:           素泊まり 5,500円
温泉 コマクサの湯:         日帰り入浴 560円(割引券)

◆ 日誌と写真
行動日誌
 木曽駒ヶ岳は初心者コースであるが、私の愛読書大人の遠足「日本百名山山あるきガイド(下巻)」によれば空木岳は上級コースとある。 以前に韓国人パーティ4名がこのコースで遭難した(2013年7月)こともあり、少々緊張する。 同行するN先輩も木曽駒ヶ岳、空木岳はそれぞれ登頂されてはいるが、この間の縦走は初めてとのことである。 中央アルプスのダイナミックな稜線歩きに期待するところであるが、岩場の危険箇所もありどうなることやら。。。
【9/26(木) 晴れ、微風】
 宝剣山荘はそれぞれ各人ベットに布団があてがわれ、山小屋にしては快適で睡眠も十分とれた。 朝4時頃から周りの者が起きだし、私も仕方なく4時過ぎに起きてレトルトの朝がゆを作って朝食を済ます。
 夜明けが5時過ぎなので、宝剣岳の岩場を考えて明るくなってから山荘を出発することにしていた。
 5時過ぎに小屋を出て、すぐに岩場の登りにとりかかる。高度をどんどん稼ぐ。 岩場は要所要所に鎖とかかすがいを打ち込んであり、ホールドなどはしっかりしているので、見印を頼りにルートさえ間違えなければ心配はない。

朝焼けの中、出発

岩だらけの宝剣岳登り、振り返ると宝剣山荘
 ペンキ印したがって登っていくうちに太陽が出てきて青空が広がってくる。 今日も快晴、朝日が昇った南アルプスの稜線が綺麗に現れる。やがて狭い宝剣岳山頂に着いた。 山頂には大きなモニュメントのような岩があり、そのてっぺんが山頂である。 ただこの岩を登るには掴まえどころがなく危険極まりない。が、昨日千畳敷から、また宝剣山荘から、この岩の上に立って叫んでいる輩が居た。 ほんとに無謀な奴もいるもんだ。てっぺんに登らずとも晴れ渡った青空の下360度のパノラマ景色は十分堪能できるのに。。。

朝日と南アルプス、真ん中に富士山

宝剣岳山頂
 空木岳はまだまだはるか彼方、長い稜線歩きを控え、早く危険箇所を通り過ぎることに越したことはないので、写真撮影を早々に済ませ先を急ぐことにした。 下りも随所に鎖やかすがいホールドがあり、ペンキ印に従って慎重に下っていく。

ほぼ垂直の下り

前を行くN先輩
 やっと三ノ沢分岐に到着し、朝の大仕事が終了した気分。振り返ると岩だらけの宝剣岳が後ろで聳え立っていた。 その後ろに昨日制覇した木曽駒ヶ岳、中岳がなだらかな稜線を映し出していた。

やっと三ノ沢分岐

宝剣岳、バックに木曽駒ヶ岳、中岳、伊那前岳
 三ノ沢分岐を過ぎ10分ほどで極楽平に着いた。ここは千畳敷から登ってくる登山道との分岐である。眼下にロープウェイの千畳敷駅が小さく見える。 ここから本格的な稜線歩き、右にはどっしりした御岳山、それに乗鞍岳、左には南アルプスの全部、その向こうに富士山もちょこっと顔を出している。 ほんとに見晴らし抜群の気持ち良い稜線である。

極楽平

極楽平から御嶽山と乗鞍岳
 宝剣岳を過ぎてもところどころ岩場に出くわす。そこには一応鎖場やホールドがついているが、アップダウンに少々疲れがたまってくる。

濁沢大峰から空木岳に続く稜線

濁沢大峰から南アルプス
 ようやく檜尾岳に到着した。ここで今日の縦走路の半分である。ここから伊那谷の方に続く尾根に丸いドーム状の避難小屋が立っている。 そこから伊那谷を挟んで向こうには南アルプス連峰が横たわっている。

檜尾岳

檜尾尾根と避難小屋、そして南アルプス
 見晴らしの良い檜尾岳を過ぎても岩場の箇所が続き、ホールドがない大きな岩を登るときには宝剣岳の岩場よりも緊張させられた。

空木岳への続く稜線

振り返ると宝剣岳ははるかかなた
 気持ちいい稜線歩きであるが、アップダウンの連続で身体は疲れてくるものの空木岳は確実に近づいてくる。振り返ると今朝登った宝剣岳がはるか彼方に遠ざかっていた。

熊沢岳

P.2703

空木岳に続く稜線

空木岳がだんだん近づいてくる

東川岳

眼下に木曽殿山荘
 東川岳に到着してやっとアップダウンの続いた稜線が終わり、今晩の宿泊先の木曽殿山荘が眼下に見えて、ザレた急坂を下ってやっと本日の稜線歩きが終了した。

木曽殿山荘

きれいな山荘1階の食堂
 山小屋で遅い昼食のラーメンを食べる。もちろんその前にN先輩とビールで乾杯。 お湯を沸かしてコーヒータイムにして、途中の縦走路ですれ違った山ガールのお二人にもコーヒーをふるまいしばし歓談。 東京それに静岡から来たというお二人、宝剣山荘から来たのであるが、危険な宝剣岳を避けるため一旦千畳敷に下りて極楽平に登り直してから縦走したとのこと。 我々年寄りでもなんとか岩場を通過できたので、お若い二人にはぜんぜん問題ないよと言ってやった。 すると、宝剣山荘に出るとき、お年寄りのパーティが同じく木曽殿山荘目指してくると言うのに、もう3時過ぎてもまだ姿を現さないので心配だと言う。 そういえば、我々も昨晩宝剣山荘で夕飯食べている時、テーブル向かいの老夫婦も同じルートと言っていたことを思い出した。 旦那の方は病気してから3年ぶりの登山で、どうも見た目には我々と同じか上の方の年齢とお見受けする。それも奥様との二人連れなので、その老夫婦もまだ到着していない。
 山ガールといろいろ話しているうちに老夫婦がやっと小屋に現れたので、ご苦労様と声をかけた。そして山ガールが心配していた5人組パーティは4時を過ぎてやっと現れた。 山ガールが駆け寄って心配したんですよ、と声をかけて小屋の中もにぎやかになった。聞くところによると、男性3人、女性2人のパーティで皆さん70歳以上。 いやはや70歳を超えてこの厳しい稜線を来るとは。。。
 幸い今晩の宿泊者は半分くらいで、それも自炊するのは我々の他に一人くらいで、玄関片隅の小部屋で細々とコンロで食事、一方食堂で夕食のおでんを楽しんでいるのと比べちょっと寂しい。 自炊しているもうひとりはあの老人パーティの男性で、コショウアレルギーなので自炊せざるを得ないとのことであった。 小屋の食事でうっかりコショウなどが入っているとやばいと言っている。カレーなど食べることができないので、食事は自前で準備してきたとのこと。 いやはや世の中そういうアレルギーもいるんですね。大阪から来た方でアレルギー体質に似合わずにぎやかなおっさんであった。
【9/27(金) 晴れ、微風】
 小屋の2階が大部屋となっており、そこに布団が敷かれていて、それぞれ場所が割り当てられている。 大部屋の半分くらいに布団が敷き詰められており、それも間隔を開けて敷かれているので寝るには問題なかった。 途中、2回ほど外のトイレに行ったが、最初は雲がかかっていて星は見えず、次に外に出たら満点の星空であった。
 4時頃になると2階で寝ている皆さんが起きだし身支度を始める。こちらも階下に下りて行って自炊室で朝飯の準備に取り掛かる。 今日の朝飯はサトウのご飯パックをお湯で温め、レトルトの親子丼を温めご飯にかけて食った。N先輩は相変わらずアルファ米である。 朝食時に小屋のご主人から空木岳登り方の説明があった。山頂まで3つのピークがあるとか岩場の登り方まで具体的で詳しい説明がなされた。
 準備を済ませて外に出ると例の山ガールも同じく出発の準備。我々が先頭となって登り始める。

夜明けの静けさ

雲がかかる空木岳
 空木岳の登りも結構な岩登りである。要所要所には鎖や岩に埋め込まれたかすがいがあるので、足場やホールドをしっかり確保すれば問題ない。 また小屋のご主人から丁寧な説明を受けていたこともあってそんなに危ないという感じることはなかった。
 第1ピークを過ぎて第2ピークらしいところを通過し、第3ピークは?と思っているうちに山頂に辿り着いてしまった。

岩場を登る

空木岳山頂
 空木岳山頂からの眺めも最高である。やがて山ガールも到着して記念写真を撮りあう。 それにしてもランドネから抜け出てきたようなコスチュームをばっちり決めてきて、山頂記念写真では旗も振ってまるでエベレストを登頂したかのようなポーズで写真に納まっている。 誠に賑やかなお嬢さん達である。

登頂記念写真

山ガールと記念写真
 山頂からの眺望であるが、西の方から、御嶽山、乗鞍岳、北アルプス、槍ヶ岳も確認できる、それに八ヶ岳、南アルプスの山々、 南に目を転じると中央アルプスの南駒ヶ岳、越百山へと続く稜線、その向こうに恵那山も見える。 そういえばここは中央アルプス、ということは日本の中心、日本の主要な山がすべて見えていると言っても過言ではない。

宝剣岳方面

南駒ヶ岳、越百山方面
 360度の景色を堪能していたら、下から雲がわいてきてその雲の中にブロッケン現象かと思われる虹色の影がうっすらと映っていた。

ブロッケン現象か!

駒峰ヒュッテ
 山頂直下の駒峰ヒュッテは見晴らしの良い稜線に立っている。無人の小屋であるが、ここのテラスから空木岳や昨日歩いてきた木曽駒ヶ岳から稜線が見渡せて気持ちいい。 見晴らしの良い稜線をどんどん下りていくとやがて巨岩が現れる。駒石である。

駒峰ヒュッテから空木岳

駒石
 駒石では先に下りて行ったあの山ガールが巨岩に登ってさまざまなポーズで写真を撮りあっている。2人で収まる記念写真を撮ってあげる。

見晴らしの良い下山道

駒石ルートと宇木平避難小屋ルートとの分岐
 その駒石を過ぎるとやがて樹林帯に入り、眺望は望めなくなる。やがて小地獄、大地獄と呼ばれるやせた尾根筋を下る。 ここもところどころ鎖があり、慎重に下っていく。
 空木岳が標高2,864m、駐車場のある菅ノ平バスセンターは標高850m、ということは一気に2,000mの下りである。 昔若い頃に南アルプス白峰三山を縦走した時、農鳥岳から奈良田への下りが1,500mで、その長い下りでうんざりした記憶があるが、今日はそれを上回る下りである。 このルートでも登ってくる登山者数人に出会う。N先輩も以前このルートで空木岳を登ったとのこと。
 やがて痩せ尾根、岩場地帯を抜けてあたりが笹原になると池山小屋の水場に出る。ここで2~3人の登山者が休憩していた。 用をしたくなったので池山小屋を探したが、小屋に行く道がわからず結局我慢して下ることとした。(水場に行く手前で小屋への分岐があったのだが。。。)

樹林帯の中のマセナギ

池山小屋の水場
 長い下り坂で登山口が遠い。

林道終点

空木岳登山口
 やっと林道終点にでる。確かに林道が来ており、ネットの記事によればここまでタクシーが来てくれるようであるが、現在林道は通行止めであった。
 ここからは林道をショートカットする登山道があり、どんどん下っていくが登山口にはなかなか着かない。。 やっと大きな看板のある空木岳登山口に出た。そこには広い駐車場があり、車が数台駐車している。 菅ノ平バスセンターへは500m、最後のロード歩きを強いられてやっとバスセンターに到着した。2,000mの下り、タフな下りであった。

登山口

菅の平バスセンターに到着
 急いでトイレに駆け込み用を足してすっきりする。ここから「こまくさの湯」まで歩いていく。 汗を流した後、食堂で駒ヶ岳名物のソースカツ丼を賞味した。運転を控えているのでビールは飲めない。 時刻はまだ2時を過ぎたばかり、今日はN先輩宅に泊まらせてもらうことになっている。同じ伊那谷に住むS友人に連絡すると木こりのバイト中とのこと。 N先輩宅で一休みして、まず今晩の食料をN先輩宅の畑でゴーヤ、トマトなどを収穫する。 夕方に近くのスーパーに行って今晩のおかずやおつまみなどを買う。そこでS君と落ちあい一緒にN先輩宅に戻り、打ち上げ、宴会とあいなった。
感想
 中央アルプスの主要部を縦走したわけだが、当初ロープウェイで登れることから体力的に楽かと甘く考えていた。 確かに木曽駒ヶ岳までは初心者でもまったく問題ない。 しかし、そこから宝剣岳を経由して空木岳への稜線は、アップダウンもありタフなコースであった。
 N先輩、私より2つ年上であるが、登りでも平坦な道を進むように登っていき、とても追いつけない。そのN先輩でもこのコースはタフであったという。
 また今回の山行はお天気が最高であったこともさることながら、オグシオの小椋久美子さんに出会えたことやラウドネ娘との出会いなど、誠に楽しい山行であった。

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