鷲羽岳・水晶岳 |
◆ 山行記録 |
山行概要 | ||
報告概要 | 個人的夏合宿として、鷲羽岳、水晶岳、笠ヶ岳に行ってきました。 | |
山行日 | 2016年8月23日(火)~ 27日(土) | 鷲羽岳山頂にて |
天気 | 晴れ時々曇り、微風 | |
企画 | 個人企画 | |
装備 | 12kg (4泊5日) | |
同行者 | 単独行 | |
コース 概要 |
【1日目】 自宅==八王子IC==松本IC==安房峠==新穂高温泉 【2日目】 新穂高温泉→わさび平→小池新道登山口→秩父沢出会→シシウドヶ原→鏡平山荘→弓折分岐→双六小屋→三俣山荘 【3日目】 三俣山荘→鷲羽岳→ワイモ北分岐→水晶小屋→水晶岳→水晶小屋→岩苔乗越→黒部源流→三俣山荘→双六山荘 【4日目】 双六山荘→弓折分岐→大ノマ乗越→大ノマ岳→秩父平→笠新道分岐→抜戸岩→笠ヶ岳山荘⇔笠ヶ岳 【5日目】 笠ヶ岳山荘→抜戸岩→笠新道分岐→杓子平→笠新道登山口→新穂高温泉==富士見平==双六山荘==雨晴温泉 |
行動記録 | |
【8/23(火)晴れ時々曇り、微風】 | |
自宅(9:00)==八王子IC(10:00)==諏訪湖SA(13:00)==松本IC(14:00)==新穂高温泉(16:30) | |
【8/24(水)曇り、微風】 | |
新穂高温泉駐車場(5:00)--0:08--登山センター(5:08)--0:16--ゲート(5:24)--0:44--笠新道登山口(6:08) --0:10--わさび平(6:18,6:30)--1:02--秩父沢(7:32)--0:46--イタドリヶ原(8:18)--0:40--鏡平小屋分岐(9:50,10:10) --0:29--弓折中段(10:39)--0:27---弓折乗越(11:06,11:15)--0:15--ベンチ(11:30)--0:48--双六小屋(12:18,12:45) --0:15--双六岳分岐(13:00)--1:44--三俣峠(14:44,14:48)--0:33--三俣山荘(15:21) | |
【8/25(木)晴れ、微風】 | |
三俣山荘(5:10)--0:32--休憩(5:42,5:45)--1:09--鷲羽岳(6:54,7:20)--0:27--ワリモ岳(7:47)--0:20--ワリモ北分岐(8:03,8:10) --0:38--水晶小屋分岐(8:48,8:50)--0:43--水晶岳(9:33,9:46)--0:30--岩苔乗越(11:16,11:20)--0:40--分岐(12:07, 12:15) --0:13--黒部源流標識(12:28)--1:20--三俣山荘テント場(13:48,14:00)--2:09--双六岳分岐(16:09,16:10)--0:15--双六小屋(16:25) | |
【8/26(金)晴れのち曇り、微風】 | |
双六小屋(6:15)--0:32--休憩(5:42,5:45)--1:09--弓折岳分岐(9:41)--0:27--抜戸岳分岐(10:32)--0:20--笠新道分岐(10:39) --0:38--抜戸岩(11:27)--0:43--笠ヶ岳山荘(12:44,13:00)--0:30--笠ヶ岳山頂(13:27,13:45)--0:15--笠ヶ岳山荘(14:00) | |
【8/27(土)曇り時々小雨、微風】 | |
笠ヶ岳山荘(5:30)--0:08--テント場(5:38)--1:09--弓折岳分岐(9:41)--0:27--抜戸岳分岐(10:32)--0:20--笠新道分岐(10:39) --0:38--抜戸岩(11:27)--0:43--笠新道登山口(10:17,10:20)--0:30--登山センター(11:05,11:15)--0:10-駐車場(11:25,11:40) |
行程図 |
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天気図 | |
【8/23(火)】 日の出 5:12, 日の入り 18:28 晴れ 30.7℃/20.1℃, 53%, 北北西 4m/s, 降雨量 0.0mm |
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【8/24(水)】 日の出 5:13, 日の入り 18:27 曇り 31.7℃/21.0℃, 74%, 西 2m/s, 降雨量 0.0mm |
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【8/25(木)】 日の出 5:14, 日の入り 18:26 曇り 33.6℃/21.2℃, 41%, 南 3m/s, 降雨量 0.0mm |
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【8/26(金)】 日の出 5:15, 日の入り 18:24 曇り 33.7℃/21.9℃, 43%, 南 4m/s, 降雨量 0.0mm |
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【8/27(土)】 日の出 5:16, 日の入り 18:23 曇り 22.8℃/20.1℃, 74%, 北西 2m/s, 降雨量 0.0mm |
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Yahoo!天気情報 過去の天気より転載 @長野県中部(松本) |
◆ 山行資料 |
アプローチメモ | |||||
交通手段 |
・中央高速(八王子IC~松本IC): ¥4,450(ETC割引) ・安房峠トンネル: ¥ 770(ETC割引) ・北陸自動車道(富山IC~小杉IC): ¥ 320(ETC割引) ・北陸・上信越・関越自動車道(小杉IC~練馬IC): ¥6,550(ETC割引) ・東名高速道路(東京IC~川崎IC): ¥ 360(ETC割引) |
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宿泊 |
・三俣山荘: テント代 ¥ 1,000 ・双六小屋: テント代 ¥ 1,000 ・笠ヶ岳山荘: 素泊まり ¥ 6,600 ・雨晴温泉「磯あそび」: ¥22,000 |
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温泉 | ・新穂高温泉 中崎山荘奥飛騨の湯: 日帰り入浴 ¥800 |
◆ 日誌と写真 |
行動日誌 | ||
今年の夏は大学のワンゲル同窓会が富山で開催されるということで、富山に行くついでに百名山を制覇することにした。
そこで富山といえばなんといっても北アルプスとなるが、北アルプスでもなかなか行けないアプローチの長い鷲羽岳と水晶岳を狙うこととした。
鷲羽岳・水晶岳は北アルプスの真ん中に位置しており、日帰りはとうてい無理でどうしても1泊してやっと山頂に辿り着くことが出来る山である。
この近くには日本で最後の秘境と言われている雲ノ平があり、黒部川源流の地域である。
また鷲羽岳から水晶岳に至る稜線は、北アルプスにおいて最も眺めが良い箇所として知られている。 ということで、今年の夏のメインイベントはこの北アルプス山行とし、それに向けて下調べや準備、それに山登りの体力を付けることに心掛けてきた。 小屋泊まりという手もあるが、夏の北アルプスの小屋は混雑しているようなので、ここはテント担いで気楽に行くこととし、疲れたら小屋泊まりということにした。 | ||
【8/23(火) 晴れのち曇り、微風】 | ||
1週間の夏休みをとったが、日本近海に台風がうろうろしており、天気図と長期予報を睨みながら予定より1日ずらして出発することとした。 初日はとにかく新穂高温泉まで行けばよいので、朝9時に自宅を出て平日の中央高速を松本ICまでゆっくりドライブする。 松本ICからは上高地に至る道路をそのまま進み、沢渡で新穂高温泉へと別れ安房トンネルを抜ける。 沢渡からはやはり車の数が少なくなり、少々不安を覚えるがナビに従って新穂高温泉を目指す。 車にほとんど出くわさず少々心細くなったが、新穂高温泉に近づくと登山者用の広い駐車場があり、そこは約8割がた車が止められていた。天気はあまり良くないが、登山客はやはり来ている。 曇り空で谷あいの駐車場は夕方すぐに暗くなった。車内でコンビニ弁当とビールで夕食をとり早々に寝る。 |
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【8/24(水) 曇り、微風】 | ||
翌朝、5時頃に目を覚ますとあいかわらず曇り空で薄暗い。今日の行程は長いのでパンなどで簡単に朝食を済まして出発する。 登山センターを過ぎてしばらくは林道歩きで休みなしに約1時間10分ほどでわさび平小屋に着く。 | ||
新穂高温泉駐車場 |
わさび平小屋 |
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わさび平小屋で10分程休憩したのち、しばらく林道を進むと小池新道登山口に着く。さてここから山道でいよいよ登りとなる。 以前NHKの百名山で鷲羽岳の番組があったが、このコースは比較的なだらかで小屋もあるので楽ということである。 それを信じてまずは鏡平小屋を目指す。途中秩父沢を超え、そのうち見晴らしの良い場所に着くと数名の登山客が休憩していた。 テントを担いではいるが意外とペースは良い。この休憩場所(シシウドヶ原)から鏡平小屋までは勾配も緩いはずだ。 | ||
鏡平山荘 |
弓折分岐(乗越) |
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鏡平小屋は鏡池に映る槍ヶ岳が有名な場所である。しかし、槍ヶ岳方面は雲に覆われていて、また残念ながら鏡池のほとりにある木のテラスは工事中であった。
鏡池の側の小屋に着くと大勢の登山客が小屋のテラスで休憩していた。このテラスからも槍ヶ岳が望めるはずであるが、あいにく標高2,000m以上は雲の中である。
ここでしっかり朝食をとってさらに稜線に向けて登り出す。 弓折分岐のちょうど真ん中付近でふもとを見ると鏡平小屋、それに奥深い谷が望めた。 そこからは雲の中に入っていく感じで周りの眺めはなくなり、とにかくひたすら登るとやっと稜線の弓折分岐に到着した。 そこにはベンチがあり、数人の登山客が休憩している。 弓折分岐からは稜線であるが、あいにく眺めはない雲の中をひたすら歩を進めていく。 しばらくして山の斜面をトラバースするような道を歩いていると、向こうの方に双六小屋、それとカラフルなテントが見えだす。 それに青空も見え心なしか周りも明るくなる。うれしくなって足取りも軽くなる。 |
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双六小屋が見えだす |
双六小屋前から鷲羽岳 |
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双六小屋は大きな小屋で入り口には、花の百名山を執筆した田中澄江筆跡の大きな看板が掲げられてある。
小屋の広場から正面に鷲羽岳が大きく広がっている。右手の方には槍ヶ岳も見えるはずであるが、残念ながら雲に隠れいる。
ただ槍ヶ岳に続く鋭い稜線、東鎌尾根は雲の下に見えており、それにところどころ青空も見える。 さて双六小屋まで予定通り到着したが、これからの行程を考えると次の三俣山荘まで進める方が翌日の鷲羽岳・水晶岳往復がぐっと楽になる。 テントを担いでここまでなんとか順調にきていること、また三俣山荘までコースタイムが2時間20分、また巻道ルートを取れば登りも少なく、なんとか4時前には小屋に到着するであろうと思い、意を決して三俣山荘を目指すこととした。 |
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双六小屋を見下ろす |
三俣蓮華岳への巻道ルート |
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双六小屋の裏手からちょうど双六岳を登る山道を登り出すが、やはり疲れているせいかなかなかピッチが上がらない。 巻道ルートへの分岐まで思ったより時間がかかったが、ここからは平たんな山道になる。 右手は鷲羽岳が見えるはずであるが、午後から雲が湧いてきて、そのうちにわか雨に遭い仕方なくカッパを着る。 巻道ルートで一ヶ所沢筋を下って再び登る箇所があるが、朝からテントを担いで1,500m以上登ってきている身体にとってきつい。 そこを通過した後も三俣蓮華岳分岐まではなだらかな登り道なのであるが、体力消耗のせいか足取りは重い。また腰も痛い。 | ||
三俣蓮華岳分岐より鷲羽岳方面 |
今夜の宿泊場所三俣山荘へ下る |
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やっと三俣蓮華岳分岐に辿り着き、そこから後は下るだけということで安心感を覚える。いつのまにか雨もあがり、目の前に鷲羽岳が近づいてきている。
ただ分岐から三俣山荘は見えない。 分岐を通り過ぎ、ベンチがある箇所を通り過ぎてやっと下の方に赤い屋根の三俣山荘が見えた時には、早くテント場に着きたい思いにかられたが、疲れ切った身体ではなかなかたどり着かなかった。 テント場を過ぎて、まずはテントの申し込みに小屋までザックを担いで行く。 缶ビールは後で買うことにしてテント料金を払い、最後の仕事であるテントを張る。 ザックを中に入れてようやく落ち着き、山小屋で買った缶ビールを呑んで休んでいると、ちょうど私のテントの隣りの住人もビールを呑んでいた。 年齢も同じようだったので、声をかけるとなんと大阪の人でそれも元ワンゲル部員だったということで話が弾む。 白馬村に住む彼の先輩も遅れてこの場所にくるというので、しばらくしてその方も現れ、3人で晩飯と酒を酌み交わし、昔のワンゲル事情や世間話で盛り上がる。 ちょうど同世代なので話題があうというか、いろいろ人生話までする羽目になり、おかげて缶ビールはとっくに飲み干し、持ってきた焼酎も初日でなくなってしまった。 |
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【8/25(木) 晴れ、微風】 | ||
朝起きてみると天気は快晴。昨晩酒盛りした大阪の元ワンゲルの方は雲ノ平に行くと言っていたが、朝早々テントを撤収してに出発してしまった。 こちらも今日は水晶岳往復と長い山行となるので、素早く朝飯を済まし、テントはそのままにして出発する。 | ||
三俣山荘前から槍ヶ岳、やっと見えた。 |
鷲羽岳山頂より槍ヶ岳穂高連峰 |
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三俣山荘の前の広場から槍ヶ岳がくっきり見える。小屋から鷲羽岳山頂への道がまっすぐ伸びており、朝焼けの中、鷲羽岳を目指す。
登り1時間のコースであるが途中若い方に抜かれたが順調に山頂まで登れた。 山頂からの景色は360°の大パノラマである。槍ヶ岳、穂高連峰、三俣蓮華岳から双六岳、笠ヶ岳、黒部五郎岳、日本の秘境雲ノ平の向こうにはでかい薬師岳、北の方はこれから行く水晶岳や赤牛などほんとにここは北アルプスの中心ということがよくわかる。 それにこの日は快晴で、見渡す限りどこまでも山々が続いている眺めを満喫出来て、日本の奥深いところに来ていることを実感する。 |
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昨日登ってきた双六岳、遠くに笠ヶ岳 |
雲の平の向こうにどっしりとした薬師岳 |
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鷲羽岳山頂で最高の景色を楽しんだ後、いよいよ水晶岳への稜線を北進する。 ここからめっきり人が少なくなり、こんなに奥深い山の中でたったひとり自然の中に浸っているという気分にさせられる。 太陽は燦々と降り注いでいて、腕や首筋の日焼けが気にある。 ただ昨日のテント担いで10時間の山行の疲れか、稜線コースにも関わらず、だんだん疲れが溜まっている感じでちょっとした登りも身体にこたえるようになる。 | ||
ワリモ北分岐より水晶岳方面を望む |
水晶小屋 |
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ワリモ北分岐から水晶小屋付近までデカザックを担いだ山ガールと抜きつ抜かれつであったが、最後は抜き去られてしまった。 若い女性は強い。水晶小屋からは平たんな稜線で水晶岳がまじかに迫ってくるが、最後の水晶岳への登りは岩稜地帯ではしごや狭い道であり、疲れた身体では気を付けなければならない。 山頂直下の登り道にある岩をみると。 花崗岩であるがその中にキラキラ光るものがあり、これが水晶なのか、そのために水晶岳と言われるゆえんを認識する。 | ||
水晶岳山頂にて |
黒部川源流の沢 |
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水晶岳に登頂し、今回の山行の目標であった百名山を2山制覇したことに達成感を覚える。
水晶岳からの眺めも北アルプスのど真ん中、赤牛岳から黒部ダム方面の山々、表銀座の山々が望めるが残念ながら少々雲がかかっている。
水晶岳から先の赤牛岳への稜線は結構アップダウンのある稜線で、また次の小屋まで相当距離があるので相当な体力が必要と感じさせる。 水晶岳で景色を堪能した後、水晶小屋に戻り、そこでご褒美の缶コーラでもと思ったがあいにくサイダーしかなかった。 それでも疲れた身体に甘い炭酸水が身体に染み渡った。 小屋で一休みしてから岩苔乗越を経て黒部川源流を下る。沢筋を下っていくのであるが、はじめは岩がごろごろした沢筋を下っていく。 そのうち山道と平行に小さいな沢ができていて、青い空の下静寂な沢筋でせせらぎの音が心地よい。 それにしても黒部源流という地点を早く見てみたいと思いながらも結構雲ノ平からの分岐まで時間がかかった。雲ノ平から下りてきた人が沢で休憩している。 ここが登山地図にある黒部源流と思われるが標識などなにもない。 またここでは結構水量があるので、やはり本当の源流は先ほど下ってきた沢筋の小さな流れが本当の黒部川の源流だと思った。 さてここで少々休憩して、ここから今朝出発した三俣山荘まで登りである。 気合を入れて登りにかかるとすぐに広場がでてきて、ここにあの写真でよくみる黒部川源流標があった。 しかしこの場所は単に開けた場所で沢から少々離れている。 まあ黒部川源流付近には違いないが、りっぱな標識をみて改めて日本の秘境に足を踏み入れているという実感を抱いた。 三俣山荘まで登りはなだらかでそんなに苦しくはなく、まもなくテント場到着、私のテントもそのまま立てられたままであった。 さて今回の目的を達したので、ここでもう一泊してのんびり下山という選択もあるが、まだ夕方まで時間があるので双六小屋まで進むこととした。 それには目の前の三俣蓮華岳分岐まで1時間半登りさえ我慢すれば、あとは巻道ルートであれば登りもなくなんとか双六小屋までたどり着けるだろう、それにできれば笠ヶ岳まで狙うことができる、という思いが湧いてきた。 さっそくテント撤収し荷物をまとめて双六小屋を目指す。 |
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黒部川源流標 |
双六小屋での我がテント |
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テント場から三俣蓮華岳分岐はすぐそこに見えているのであるが、昨日下ってきたところ今度は約200mの登り、コースタイムで40分とある。 やはりザックの重さとこれまでの疲れで、分岐まで思ったより時間がかかった。 やっと誰もいない分岐に辿り着き、ここから巻き道なので平たんな道ではあるが一ヶ所だけ急激に沢筋を下った記憶がよみがえる。 その沢筋をザック担いでなんとか登り切り、といっても後で地図で確認したらほんの50m程であったが、それを過ぎても双六岳分岐はまだ遠くの方に見える。 あたりは夕暮れの気配となり誰にも会わずひたすら歩みを進める。 やっと双六岳分岐で小屋から登ってきたらしい登山者に出くわし、この分岐からしばらくして双六小屋が真下に見えた時にはホッとした。 時刻はすでに4時をまわっている。小屋についてテント泊の申し込みをし、さっそくテントを立ててようやく落ちつく。 さあこれからビールを買って晩飯であるが、アルファ米とレトルトカレーという簡単な食事である。 一方、隣りのテントでは若い兄ちゃんが、コンロでソーセージや野菜を焼いていて、そのいい香りがこちらに漂ってくる。 こちらは酒も昨晩の宴会でほとんどなくなってしまったので、明日の笠ヶ岳までの縦走に備えて早々に寝てた。 | ||
【8/26(金) 曇り、微風】 | ||
天気予報によれば、今日から下り坂で明日はあまり期待できないとの予報であるが、ここ双六小屋は快晴、笠ヶ岳もテント場からも三角形の山がばっちり望める。 夜露に濡れたテントを畳むのに地面に置くと砂がついてしまうので、なんとか空中で小さくたたんでザックに濡れたまま押し込む。 そんなことで6時出発のところが6時20分となった。 |
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向こうの方に笠ヶ岳が見える。 |
弓折分岐(乗越) |
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歩き始めるとだんだん雲が出てきて、弓折分岐付近ではやはり周りは雲に包まれてしまう。 一昨日に登ってきた時もガスで見晴らしは良くなかったが、せっかくの稜線歩きではあるが、隣りの峰にあたる槍穂の稜線も見えない。 | ||
笠ヶ岳方面はだんだん雲に覆われてくる。 |
P.2667付近(秩父平から登り切ったところ) |
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途中同じような年配の方がでかいザックを担いで歩いていた。
弓折岳を過ぎたあたりで同じように休憩をとったので、「どちらまで行かれるのですか?」と声をかけたら「笠ヶ岳に決まってるだろ」とやや口調の粗い返事が返ってきた。
そこでもう会話が途切れたが、私の方も分かり切った質問をしたものだ、と反省しつつもテントを担いで単独行には何か深い事情がありそうなような気になった。
という私もテント担いだ単独行ではあるが、今日は最後の宿泊なのでもう断然小屋泊まりを決め込んでいる。 大ノマ岳を過ぎた山道でおばちゃんと雷鳥の話をしている地下足袋を履いたおじさん2人連れとすれ違ったが、なにしろ雷鳥の生態を調査している林野庁の人であった。 秩父平というやや広い野原みたいなところで、道連れのおばさん達からブルーベリーの実を教えてもらったり、野イチゴを試してみたりした。 その後、おば様達を残して谷を登るようなやや急な坂をあえぎあえぎ登るとほぼ直角に曲がるような稜線に出る。 そこから抜戸岳に続く稜線であるが、そのあたりから若い男性とおばさん2人という3人連れのパーティと抜きつ抜かれつとなる。 向こうは小屋泊まりのせいか荷物は小さいが、こちらはテントの入ったザックを担いでいるので、追いつくのがやっとといった感じである。 見晴らしは依然何も見えず。 |
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抜戸岳への山道 |
笠新道分岐に到着、あともう少し |
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抜戸岳まですぐであろうと思っていたが意外と遠い。ただアップダウンは少なく歩きやす稜線であることは幸いであった。
途中例の3人パーティと同じところで休憩して聞き耳を立てるとどうも若い男性は山岳ガイドのようである。
そのガイドは休憩中もスマホで天候とか情報収集しているようで、歩いているときも常におば様達にいろいろ話しかけていた。
さすが山岳ガイドは気配りや親切を心掛けているのであろうと思われる。 やっとの思いで笠新道分岐に辿り着いた。明日はここから下山するだけだと思うと今回の山行完遂が見えてきたように思った。 ただ笠ヶ岳山荘へは後1時間10分の行程である。出発する前、あまり詳細に行程を把握しなかったが、歩くとやはりコースタイムどおりきっちり距離があることを改めて実感する。 ただ笠ヶ岳は近づいているはずなのにまだ姿を現さない。 |
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抜戸岩をくぐる |
やっと着きました、笠ヶ岳小屋 |
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特徴のある抜戸岩をくぐると笠ヶ岳がかすかに一瞬現れる。意外とまだ距離があるので休憩ととる。
例の3人も同じところで休憩していたが、私が着くとほどなくして先に行ってしまった。 さて十分休憩をとった後気合を入れて登るも疲れた身体なのでなかなかスピードが出ない。 また小屋が見えてから岩だらけの道となり、それも大きな岩をマーキングを目当てで進むのであるが、かなりの登りである。 もうすぐとかテント場とか表示があっても、そこから山小屋の玄関まで意外ときつかった。 小屋について素泊まりの手続きをして、小屋の前の石畳に濡れたテントを広げて乾かしながら昼食を取る。 あたりは何もみえないが、日差しが少々現れたのでテントもすぐに乾いた。濡れたテントはやはりザックにしまいたくないし、担ぎたくない。 昼飯も食ったし、ザックを小屋の部屋にしまい込んだので、さて笠ヶ岳山頂に向かうこととする。 |
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何も見えない笠ヶ岳山頂 |
笠ヶ岳小屋に戻ってくる |
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山荘から20分ほどで笠ヶ岳山頂に到着したが、果たして何も見えない。晴れていたらここら槍穂の稜線が眼前に広がるはずであるのだが。
仕方なく山頂での記念写真を撮ってもらってしばらく山頂で過ごしていたら、あのブルーベリーを教えてもらったおばさんたちも山頂で一緒であった。
名古屋から来たとのこと。中年のおばさんとは思えない賑やかな方であるが、カメラのタイマーがおかしいので見てくれという。
私のものと同じようなデジカメなので、いろいろ試してみたのであるが、いつもタイマーが効いてしまっている。
山頂から下りて山荘の前のテーブル席でしっかり確認してみたのであるが、やはり壊れているようだ。 山荘はあまり天気が良くない日としてはそこそこの登山者が入っていた。 食堂で同じような年配の方と話していたが、鷲羽岳、水晶岳に行ってきたことを話すと、その方も以前に同じコースを歩いて、その時は残雪のシーズンであったが、彼の言葉を借りれば、まるで天国を歩いているようであったとのこと。 確かに快晴で青空の下、残雪を抱いた雄大な北アルプスを眺めながらの縦走はなにものにも代えがたいと思う。 |
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【8/27(土) 曇り、微風】 | ||
今日はワンゲル同窓会の日である。夕方までに富山に着かなければならない。下山するだけであるが、ゆっくりはしてられない。 外は雨、しかし小雨模様である。山小屋の玄関はカッパを着る人でごった返している。 | ||
笠ヶ岳小屋の前から曇天の風景が広がる |
笠ヶ岳テント場を通過、サヨナラの文字が・・ |
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カッパ上下を着て、外に出てみると風もなく雨も霧雨程度であまり不快感はない。 ガスに煙る稜線歩きであったが、残念ながら今日も槍ヶ岳~穂高の稜線が望めない。ただひたすら下山するだけである。 抜戸岩を過ぎ笠新道分岐に到着し、ここからいよいよ下山となるが、ちょっと登ってからの下りとなる。 | ||
岩だらけの沢を急激に下る |
目の前には槍ヶ岳穂高連峰が望めるのであるが |
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抜戸岳あたりは岩がごろごろの道であるが、急激に沢筋を下ることとなる。基本的に沢なので、大きな岩をたどって下ることとなる。
目印に注意しながら下らないと道が途絶える。いい加減嫌になる岩の沢道である。大きな沢を下った時点でやや平らなところが杓子平となる。
皆さんはここで休憩をとっていて当然私も休憩に入る。杓子平から槍穂稜線が雲の中から一瞬姿を現す。そこにはやはり雄大な山容が横たわっていた。 杓子平からいよいよ笠新道の急激な下りが延々続く。 じぐざくの道を下っていくのであるが、途中ショートカットできるような箇所もあるが、同じように下っていた中年の登山者がその道を選んだばっかりにヒヤッとしたとのことであった。 やはり我々中高年は、慎重に正規ルートでゆっくり下るのが基本と思った次第である。 ここで躓いたり転倒したりすると単独行の場合どうしようもない。 それにしてもバランスが悪くなったと痛感する。 |
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やっと笠新道を下りてきました。 |
やっと着きました。新穂高ロープウェイ駅 |
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長い長い笠新道を下りきってやっと今回の山行の成功を味わう。稜線から1,200mの下ったことになる。笠新道登山口から新穂高温泉までの林道歩きは心も軽い。
相変わらず天気は悪く雨もぽつぽつといったところであるが、途中これらか山に登るパーティに出会うとほんとにご苦労さんと思う。
そういえば笠新道を下っているときに若い山ガールが登っていった。やはり若い人は天気も関係ないくらい元気なのであろう。
新穂高温泉にある登山センターで、トイレがてらどこの温泉に入るべきか情報を集めたが、結局一番近い登山センター隣にある中崎山荘奥飛騨の湯に行くこととした。 駐車場に着いてとにかく急いで準備して温泉に向かう。きれいな源泉かけ流しの温泉で3日間の汗を洗い落とした。 昼食に今晩宴会なので普通のラーメンを選択したが、やはりここの名物の朴葉味噌定食をとるべきであったと後悔する私であった。 |
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感想 | ||
当初の目的である鷲羽岳と水晶岳を制覇したのみならず笠ヶ岳まで制覇できた。
最後は山小屋泊まりとはなったが、一応テント担いで北アルプスを縦走できたことに満足を覚える。
特に笠ヶ岳を制覇できたことは大きい。なぜなら笠ヶ岳を制覇するには、あの笠新道を登らなければならない。
新穂高温泉からはコースタイムで8時間半、標高差は1,800mの登りとなる。鏡平山荘経由して登ることもできるが、1泊余計にかかる。
ただ残念であったのはあいにく天気が悪く、笠ヶ岳から本当は目の前に見える槍ヶ岳~穂高の稜線が望めなかったことである。 これで北アルプスの百名山は、五竜岳、鹿島槍ヶ岳、それに焼岳の3山を残すのみとなった。 |