焼岳(2,444m)
◆ 山行記録
山行概要
報告概要 北アルプスの百名山で唯一登頂していない焼岳に行ってきました。
山行日 2019年8月3日(土)~4日(日)
焼岳北峰山頂にて
天気 晴れ、微風
企画 KMT
装備 5-6kg
同行者 Tさん、Yさん、Sさん、Kさん、Fさん、Mさん、T夫妻の計9名
コース
概要
上高地 → 登山口 → 焼岳小屋 → 中尾峠 → 焼岳北峰 → 広場 → 中の湯温泉

行動記録
【8月3日(木)晴れ時々曇り、微風】
自宅(4:30)==こどもの国(4:45)==府中スマート(6:00)==談合坂SA(6:10,6:40)==松本IC(8:30)==沢渡駐車場(9:40,10:10)==上高地(10:45)

上高地(11:00)→西糸屋山荘(11:10)→明神池(12:10,12:40)→上高地(14:00)→西糸屋山荘(14:10)
【8月4日(金)晴れ時々曇り、微風】
西糸屋山荘(4:40)→登山口(5:10,5:40)→はしご(7:20)→焼岳小屋(7:50,8:10)→展望台(8:20, 8:30)→肩(9:45)→焼岳北峰(10:00,11:50)→肩(11:00) →夜明峠(11:55-12:10)→登山口(13:25)→中の湯温泉(13:40)

中の湯温泉(14:40)==沢渡駐車場(15:05)==道の駅「風穴の里」(15:25,16:05)==松本IC(16:30)==双葉SA(17:55,18:05)
==上野原IC(21:40)==橋本駅(23:00)==こどもの国(23:45)==自宅(23:55)

行程図


国土地理院地図より作成

天気図
■8月3日(土) 日の出 4:51, 日の入り 18:57 晴れ 34.7℃/24.0℃ 南 6.5m/s  9.5mm
   
■8月4日(日) 日の出 4:51, 日の入り 18:56 晴れ 34.7℃/23.8℃ 東南東 6.2m/s 0.0mm
   
天気図、衛星画像 気象庁HPより転載 @松本市

◆ 山行資料
アプローチメモ
交通手段 ・中央自動車道(府中スマート→松本IC):    3,490円
・中央自動車道(松本IC→上野原IC):     2,780円
・アルピコバス(沢渡駐車場→上高地):      1,350円
                       (キャンセル料100円を含む)
・タクシー(中の湯温泉→沢渡駐車場):      1,200円(割勘)
・沢渡駐車場:                  1,200円(1泊2日)
お宿 西糸屋山荘:    9,000円(1泊2食)
温泉 中の湯温泉:    日帰り入浴 700円
道の駅 風穴の里:     駐車場: 大型:10台 普通車:30台

◆ 日誌と写真
行動日誌
 今年の梅雨開けは例年になく遅く、7月はまったく晴れ間がなかった。 結局7月は3連休もあったがどこにも行かず家の中で悶々と過ごした。 KMTから8月の山行が焼岳ということで、北アルプスで唯一制覇していない山なのですぐさま申し込んだ。
 KMTの日程によると上高地の西糸屋山荘に泊まるということで、最初は上高地の小梨平でテント泊ということも考えたが、 一緒に参加する方から「ご一緒に」とのお誘いを受け、参加者が9名と定員8名の部屋でオーバーではあったが宿からOKをもらい、 よろこんで皆さんと一緒に宿に泊まることにした。
【8月3日(土) 晴れ、微風】
 初日の予定は山荘に午後4時集合ということで、車で行く人、電車で行く人、それぞれのグループでいくこととなった。 私の方は新車ということもあり、新車に慣れるためにも車で行くこととし、近所に住むSさんと一緒にいうこととした。 そのSさん、何時にお迎えに上がるか尋ねたところ、午前4時というので、それは余りにも早すぎるので5時にしてもらった。 確かに7月の間、どこにも行けず悶々と過ごしたことから、久しぶりの山行ということで、やる気満々という気持ちは私も同じ。
 さて中央自動道松本IC経由、上高地であるが、中央高速で新車の最新機能である自動運転を試す。 なるほど前の車に自動的に追随していく。納車してまだ2ヵ月足らずなので、その自動追尾機能にやっと慣れてきたところである。 途中S君に運転を交代したところ、S君も「面白い」と感動していた。
 天気は晴れ、幹事役のTさん、Yさん、Kさんらは山から下りてビールなどお酒を飲んで帰るというので、今回電車で来るという。 新宿8:00発の「あずさ2号」、ではなく「あずさ50号」で来るが、途中Tさんから松本駅で拾ってくれ、とのメールが入っていた。 しかし、我々の車が松本インターを降りたのが8時半、とてもあずさ2号の松本駅到着10:37まで待ってられないので、そのまま沢渡に直行したのであった。
 沢渡の駐車場はまずまずの混み具合、早々に近いところに駐車して、アルピコバスで上高地に向かう。 もうひとつ別のグループで車で来ている女性の方に連絡するとすでに上高地河童橋にいるとのことで、待ってもらうこととした。 さっそく河童橋のふもとで落ち合ってとりあえず西糸屋山荘に荷物を置きに行った。

河童橋は相変わらずの人出

梓川と穂高連峰
 さて時刻はまだお昼前ということで、明神池まで散策に出かける。

どこまでも澄んでいる梓川支流

梓川と焼岳
 明神池までは左岸の広い道で1時間ほどの距離である。途中我々と同じように散策している観光客に交じって槍ヶ岳か穂高に登ってきたと思われる登山者がテクテク歩いている。 この道は昨年の10月にも歩いた道である。息子夫婦が育てたお礼にということで上高地の帝国ホテルに招待してくれたのであった。 その時、この道をぶらぶら歩いて徳澤園まで歩いた。
 そういえば、10年ほど前に、Tさんたちと表銀座コースを経て最終日に槍ヶ岳を登って上高地に帰る道が延々と長かったとの記憶がある。 またワンゲル時代に立山から入って薬師岳、黒部五郎、三俣を経て槍ヶ岳、穂高の裏銀座コース+大キレットという今では考えられない山行であったが、 その時もこの道を通って上高地に着き、初めて北アルプスと上高地に来た新鮮な驚きを味わった。 上高地はそういう山行を終えた登山者にとって解放感にしたるところでもある。
 明神池で簡単な昼食を済ませ、帰りは梓川の右岸をたどる。 このコースは初めて通るが木道が整備されたうえ、木立に囲まれた静かな路で梓川の支流が傍に流れていたりして、結構自然を楽しむことができた。

お花

上高地へと続く木道

トンボ

上高地風景
 上高地に戻ってくるとさらに人混みが増しているようで、とにかく西糸屋山荘に行く。そこでは「あづさ2号」組の方が食堂でカレーを食べていた。
 夕食まで時間があるので、お風呂に行く。風呂場は結構広くまた洗面台も十分あり、上高地にしては温泉旅館と変わらない施設に驚く。 国立公園内でこのような施設が提供できるとはよほど下水処理などのインフラが整備されているのであろう。 ここは「山荘」と名乗っているが、稜線上の山小屋に泊まっていた登山者から見れば贅沢すぎる施設である。

皆さんと合流

今夜の夕食
 夕食も申し分なく久しぶりにご飯のお替りまでしてしまう。夕食後は持ってきたお酒で少々グタグタ雑談して9時に就寝した。
【8月4日(日) 晴れ、微風】
 朝4時に起床。あたりは部屋はまだ電気がつかず暗い。準備を済ませ、4時半に山荘を出ると暗い中にも明神岳の方は夜明けの薄明かりであった。

朝靄の上高地

ウェストン碑
 最初は梓川に沿って平坦な道路をぶらぶら歩く。 途中、道沿いに日本アルプスの魅力を世界に紹介した英国人宣教師ウォルター・ウェストンの記念碑があった。 田代橋を過ぎてほどなくして焼岳登山口に到着。その入り口には標識があり焼岳が活火山であること、低周波地震や空振が発生していると書いてあった。

焼岳登山口

笹やぶの中を登る
 登山口から樹林帯の中をゆるやかに登っていく。山荘を出るときは長袖を着ていたが、登山口で半袖になって正解であった。 笹が生い茂る蒸し暑い中、登っていく。風がまったくない。途中で朝食タイムをとり山荘でもらったおにぎり弁当を食べる。

はしごを渡る

最大のはしご
 だんだん傾斜がきつくなり、樹林帯を抜けると日差しも浴びるようになって体温も上昇。ポカリスエットがおいしい。 そこで梯子が現れる。昨年10月下旬に焼岳をトライしたが、登山口で「梯子を外しました」の看板を見て断念した。 やはり梯子がなければとても通過できない急峻な岩の沢に梯子がかけられている。そこを過ぎると高さ10mもあろうか長い梯子が現れた。

お花

あともう少し
 長い梯子では順番に気を付けて登る。特に恐怖感を感じるほどではないが、これまでの登りで体力が消耗しているので疲れる。 そこを過ぎるとお花畑が広がる斜面を登っていく。

焼岳小屋

さて焼岳に向かって
 登山口から3時間かかってやっと焼岳小屋に到着。 かっては焼岳が噴火した際に被害を受けたとのことであるが、谷間に立っているとはいえ確かにまともに噴石が飛んできそうなところにある。 小屋で休憩してからいよいよ焼岳に向かう。小屋を過ぎるとすぐに目の前に焼岳が迫っている。ほどなくして展望台に到着。 ここからは焼岳の全貌が見渡せる。また振り返ると笠ヶ岳が美しく横たわっていた。その笠ヶ岳を登った時のことが思い出される。 双六小屋から笠ヶ岳への縦走であったが、笠ヶ岳肩の小屋までが遠かったこと。
 ここで周りの風景を楽しんでいると突然若い男女の山岳ボランティアが現れ、記念写真を撮ってもらった。また登山カードもくれた。

展望台にて

雄大な笠ヶ岳

笠ヶ岳遠景

ツリガネソウ
 焼岳の登りは岩だらけの急登で長い。熱い水蒸気が出ているところもある。やっと北峰直下の鞍部に出た。 ここでザックをデポして手ぶらで北峰に向かう。

焼岳への急な登り

やっと焼岳山頂北峰と南峰の鞍部
 頂上には15分ほどで到着。やっと北アルプスのすべて百名山を征服したのにちょっと感激。眼下には今朝登ってきた上高地が下の方に霞んでいる。 帝国ホテルの赤い屋根も見える。北の方に目を転じると穂高連峰が望めるが残念ながら山頂付近には雲がかかっている。 その左に笠が岳が静かに控えている。南の方に目を転じると乗鞍岳が見える。思いのほか山容が大きい。 焼岳山頂は荒々しい岩山ですぐ下に小さいながらも緑色の火口湖が残っている。その右側が新しい噴火口であるがその中を覗くにはちょっと急な岩肌を下っていかねばならない。 しんどいのでパス。

全員登頂しました

火口湖と噴火口
 頂上は思いのほか大勢の登山客がいた。焼岳の標識は根本を単に石で囲っただけにぐらぐらしているがその標識を中心に記念写真し、 その後各自思い思いの記念写真を撮って十分景気を堪能してから元の鞍部に戻った。

勇気ある人

火口湖、その向こうが南峰
 デポした荷物を担いで北峰と南峰の鞍部から広大な斜面を下っていく。どんどん下っていくが、夏の太陽を頭上からまともに受け暑い。日影が欲しい。

中の湯温泉への分岐

日陰のない斜面を下っていく
 やっと休憩地点である広場に出たが、ここでもまったく日影がない。とりあえず腰を下ろして休憩。

広大な斜面

日影がまったくない広場
 そこからは樹林帯に入り、一息ついたが意外と急斜面で登山口まで遠かった。やっと道路に出て、ここから中の湯温泉旅館までは舗装道路をショートカットしてやっと到着。 とにかくたっぷり汗をかいたので、温泉に入ってさっぱりしたい。温泉旅館にサービスで置かれた冷茶が疲れた身体にありがたい。

中の湯登山口の駐車場

中の湯温泉に到着
 中の湯温泉旅館からは幹事のTさんが大型タクシーを手配してくれていたので、楽して沢渡の駐車場まで戻る。 タクシーの運転手さんは地元のおばちゃんで、熊の話とか上高地のことをいろいろ教えてもらった。
 沢渡からの帰り、タクシー運転手お勧めの道の駅「風人の里」に立ち寄りざるそば、それに名物の一切れスイカを食べて、みんなと別れた。 帰りは電車でと言っていたYさんも結局私の車に同乗することとなり、いざ出発、松本ICから中央道に入ってひたすら東京に向けて車を走らせる。 日曜日の夕方ということで渋滞は覚悟していたが、大月過ぎたあたりからぜんぜん動かない。 どうも事故渋滞に遭遇してしまったが、それも2件発生しているらしく、同乗しているS君は私の家の近くで車で行けるので問題ないが、 Yさんは家は練馬で、途中下ろして電車で帰るにしても終電が気になり出した。 このまま高速道路で八王子までいくととっくに12時を回りそうなので、上野原ICで高速を出て地道をS君のナビで走る。 私の車のナビではどうしても地道で国道20号を選択するが、S君によればそこも渋滞間違いないのでS君のスマホによるGoogleナビを頼りに、とにかくJR橋本駅を目指す。 なんとかYさんの家に着く終電に間に合った。そこでYさんを下ろし、あとは地元の鶴川までS君の運転で行く。 S君宅に着いたのは11時45分頃、そして自宅に着いたのはもうすぐ0時になろうとしていた。
 中央高速の渋滞は当然ながら覚悟していたが、これほどの渋滞は珍しい。 7月のお天気がさえなかったせいか、8月に入って初めての週末ということで行楽客がどっと繰り出したせいかもしれない。
感想
 焼岳は活火山である。
 大正4年の噴火で梓川がせき止められ大正池ができたが、昭和37年の水蒸気爆発、また平成29年には空気振動を伴う地震の発生、 平成30年に焼岳付近で有感地震が増えるとあり、ごく最近まで火山の兆候が伝えられる活火山である。
今回幸い無事登頂できたが、いつ何時御岳のような爆発、または火山性地震発生で入山禁止となってもおかしくない。 登っている最中でも岩の小さいな陰から思わぬ熱い水蒸気が噴き出ていることがある。
 百名山なので、規制される前に登頂できてほっとしている。 これで北アルプスの百名山をすべて制覇できたこと、またこうして久しぶりにKMTの仲間とガヤガヤ楽しい山行ができたことに満足している。

 ホームへ