雌阿寒岳(1499m)
雌阿寒岳
行動記録
行程図
国土地理院地図より作成
■6月22日(水)
登山口(4:50)---二合目(5:21)---三合目(5:31)---四合目(5:55)---五合目(6:06)---六合目(6:25)---七合目(6:34)---八合目(6:46)---九合目(7:03)---雌阿寒岳山頂(7:27,7:36)---阿寒富士山頂(8:44,9:10)---分岐(9:48)---下山口(11:27)---オンネトー休憩舎(11:40)---国設野営場(11:50,12:10)---登山口駐車場(13:05)
天気図
■6/21(水) 日の出 3:43, 日の入り 19:09 晴一時曇り 25.1℃/6.6℃ 0.9m/s 東北東 0.0mm
■6/22(水) 日の出 3:44, 日の入り 19:09 晴一時曇り 25.4℃/8.9℃ 1.3m/s 南南東 0.0mm
気象庁過去の気象データより@阿寒湖畔
アプローチメモ
行動記録
JALがまたまたスマイルキャンペーンを実施するというので、今度は北海道を狙って航空券を予約することとした。北海道といえば百名山である雌阿寒岳が前回火山警戒レベル2で七合目で泣く泣く引き返したのであった。そこで今回北海道に行くには、雌阿寒岳制覇することを目的に行くこととした。
さてキャンペーンは5月19日午前0時から受付開始ということで、当日職場に出勤してとなりの事務の叔母様に今晩午前0時にネット予約することのやと話すと、19日午前0時ってもう過ぎてるよと言われ、その時点でボケていることに気づいた。さっそくJALの予約サイトにアクセスするも北海道行はどこでもほぼ満席、やっと帯広空港の往復が取れた。
これで一応航空券は確保できたが、6月21日出発で6月27日に帰るチケットがやっとであった。雌阿寒岳は2~3時間で登れる山なので1日あればよいが、その他の日をどう過ごすか悩ましい。空港でレンタカーを借りて道東をぶらぶらドライブするつもりではいるが、宿泊をどうするか、すべて宿泊りにすると予約、それにお金もかかる。幸い北海道はキャンプ場があちこちにあるので、たまにはテント泊もよいかと思い、ネットでキャンプ場をいろいろ調べた。ただやはりテント泊も長くなると辛いのでせいぜい2泊までとし、あとは雌阿寒岳登山口にある野趣あふれる温泉宿、野中温泉を、それに川湯温泉のKKRかわゆ、そして最終日は釧路市内のルートインホテルという格安の宿を予約した。
【6/21(水)曇りのち晴れ、微風】
当初計画では帯広空港でレンタカーを借りれば霧多布岬に行く予定であったが、しだいに天気が悪くなる方向なので翌22日に雌阿寒岳に登ることとした。計画では雌阿寒岳登山口にある野中温泉は6月23日に予約しているのであるが。登山口までは帯広空港から2時間程度で、山での食糧や今夕の車中泊に備えて夕食の買い出しも含めて時間的余裕はある。ということでさっそく計画変更
羽田空港は相変わらず混雑しているが、羽田空港に行く電車でも空港でもデカザックを担いでいることに少々気恥ずかしを感じる。
若者であればどうてことはないが、70過ぎの爺さんがザックを背負っている姿は街中では見かけないのではないだろうか。
帽子とマスクで出来るだけ顔を隠して目立たないよう行動した。
空港についてチェックインを済ませデカザックを預けてやっと身軽になった。
羽田空港は晴れていて、帯広空港に着いた時も薄曇りながらも時々まぶしい日差しが出ていた。風が心地よい。
レンタカーを借りて空港を出るとさすが北海道らしい雄大な風景が目に飛び込んでくる。
青い空と緑の大地、それにまっすぐな道路、解放感に満ち溢れている。外国に来たようで、昔アイルランドやエジンバラの片田舎に行った時のことを思い出す。
仕事ではあったが、エジンバラ郊外の小さなホテルで会合の前日、中庭でまぶしい日差しを受けながら、お客のオランダ人と話していたことを思い出した。
帯広駅前のスーパーで食料を買い込み、さて昼飯に豚丼でもと思い、ネットで調べたお店に行ったが、あいにく定休日であった。
別のお店にと車を走らせたが、そのお店は飲み屋街の中で駐車するところが見当たらない。
仕方なく大通りで見つけた回転寿司の「はま寿司」に入る。昼食を済ませ阿寒湖温泉に向け車を走らせる。
登山口の駐車場に着くとやはり登山客の車が10台程度泊まっていた。少々時間があるので、オンネトーまで車で下見をする。途中湖から雌阿寒岳が望める場所で写真撮影。観光客も結構ここまで来ている。さらに車を進めると国営野営場の広い駐車場に出くわした。その端には今年開業したオシャレな建物が建っており、中に入るとキャンプ用品や衣類など並べている。またコーヒーなども提供されていて奥のカウンターで外の景色を見ながら楽しめるようになっている。WiFiも使えるとのことであった。ただ今宵は登山口の駐車場で車中泊である。
【6/22(水)曇りのち晴れ、微風】
ちょうど夏至にあたるせいか午前3時半には辺りはもう明るい。といってもまだもう少し4時過ぎには起きた。あたりの駐車場は平日のせいか一晩通して駐車していたのは4~5台程度。薄曇りのせいか陽ざしはない。
準備しているととなりの車の若い兄ちゃんはトレランの格好で出発していった。こちらも急き立てるようにして4時50分に出発。
登山口にくると前回来た時とまったく景色は変わらず。大きなアカエゾマツの深い森の中に入っていく。
アカエゾマツの樹林帯から辺りがハイ松に変わったあたりから道端に白い花の群生が続いている。あまり見かけたことのない花であるが、ブーケのようでかわいらしい。またハイ松の花なのかとがった葉の先に紫色の実がついている。これが秋には松ぼっくりになるのであろうか。
沢を渡ったところからあたりは低い植生になり、見晴らしがよくなってきた。眼下には北海道らしい大地が広がっている。
やがて七合目に着いた。前回はここで通行止めの柵やロープがあり、やむなく引き返したところである。ここからが未知の領域に入る。
七合目からはがれきの道となり、やはり火山の山という雰囲気になる。上を見上げると火口の淵であろうかゴールが近いことを感じる。あとひと踏ん張り。
火口の淵に達した時、ゴォーという音が聞こえてきた。最初は麓の道路を走る車の音かなと思ったが、火口の底を見ると噴煙が上がっていてまさにその音である。火口の底には赤沼、まさに生きている火山の風景。
火口の淵を少々歩いたところに細々とした山頂の標識棒が建っていた。360度の大パノラマ。阿寒湖方面を見るとそこにも火口があり白い噴煙がいくつか上がっている。その向こうには円錐状の雄阿寒岳が望める。西側を望むとまじかに阿寒富士の美しい円錐形の山がすくっと鎮座している。
山頂で単独行のおじさんに声をかけると北見からやってきたという。阿寒富士を一緒に登ることとなった。淵の回りから火口の青沼が綺麗に見えていた。阿寒富士の登りはそれこそザレた道をジグザグに登っていく。北見から来たおじさんは20年程前に登ったことがあり、今回は久しぶりに体力を確かめに来たとのこと。年齢を尋ねると68歳、なんと42ヘクタールの農場主で社長業を息子に譲って暇になったので山登りを再開したとのことである。
阿寒富士からはぽっかり口のあいたクレータの雌阿寒岳が素晴らしい。北見のおじさんとしばらく山頂で景色を楽しむ。そのおじさん、携帯で自宅の奥さんと話していた。自宅からこの雌阿寒岳が望めるらしい。
阿寒富士からはぽっかり口のあいたクレータの雌阿寒岳が素晴らしい。北見のおじさんとしばらく山頂で景色を楽しむ。そのおじさん、携帯で自宅の奥さんと話していた。自宅からこの雌阿寒岳が望めるらしい。
下山の間、おじさんと北海道の農業の話とか自分の仕事の話など、結構打ち解けた話をしながら下山した。思ったより長くてまた傾斜のきつい個所もあり、途中でこのコースを登ってくる登山者とすれ違い、我々のように野中温泉から登る方が楽だねという結論にお互い納得していた。
やっとオンネトーに到着。とりあえず喉が乾いたので、自動販売機はないか探したが見当たらず、オシャレな休憩舎に入って500円のサイダーを飲んだ。その後、野営場のテーブルに座って昼飯ということで私は朝飯の残りをほうばった。
野営場を抜けるとしばらくオンネトー湖畔の木道を歩く。陽ざしもありまた爽やかな風が吹いていて心地よい。その後は樹林帯の道をひたすら進んで野中温泉のある登山者用駐車場に到着した。
登山口駐車場でおじさんに礼を言って別れた後、野中温泉に行って予約を確認した。もう登山が終わったのでキャンセルしようと思ったが、ネットで申し込んでいるのでネットでないとキャンセルできないとのこと。まあまたここに来たらいいだけのことで、そのまま車に戻って、今宵は網走湖畔の呼人浦キャンプ場でテント泊とすることにした。
感 想
雌阿寒岳を制覇し、前回の屈辱を果たすことが出来た。一応百名山をすべて制覇したことにしているが、雌阿寒岳は七合目で引返したことでわだかまり胸に残っていた。山頂を極めたことでこれですっきりした。お天気もよく360度の大パノラマを満喫したので、思い残すことはない。
また今回北見に住む大農場主に出会い、北海道の農業についていろいろ教えてもらった。そのおじさんの農場は42ヘクタールあるそうで、しかし北見では中の上くらいの広さとか。1日で見回ることができないので2日分けて見回っているとのこと。その広大な農場をおじさん夫婦と息子さん夫婦の4人でやっていて、じゃがいも、小麦、それにビートを作っている。GPSトラクターで作業をしているそうで、ほぼ自動運転であるが、畝に入るまでは運転操作がいるそうである。収穫してもウルグアイ・ラウンドかしらないが小麦なんかは海外から大量に輸入しているそうで買い叩かれているとのことである。ウクライナ戦争で小麦の値段も上がっているのに、農林省は何をやっているのかと不満を述べていた。ビートは甘いので熊の好物とのことで、見かけたらハンターに連絡して駆除してもらうそうだ。
こちらは勝手に広大な農地で豊かに暮らしている風景が目に浮かんでいたが、現実は厳しいようだ。おじさんが「日本の農業を何とかしないかん!」という意気込みだけでやってきたという言葉が耳に残った。