l 鳥海山

鳥海山(2236m)

山行概要

  • 報告概要
    東北の百名山である鳥海山に行ってきました。
  • 山行日
    2020年8月18日~19日
  • 天 気
    8/19 晴れ、8/20 晴れ
  • 企 画
    個人企画
  • 装 備
    5-6kg
  • 同行者
    単独行
  • コース概要
    滝ノ小屋登山口⇔滝ノ小屋⇔河原宿⇔伏拝岳⇔七高山⇔鳥海山新山

河原宿から鳥海山

行動記録

行程図

map

■8月10日(土)

鳥海山荘(5:00)==滝ノ小屋登山口(5:20)
滝ノ小屋登山口(5:40)→滝ノ小屋(7:05,7:20)→河原宿(8:00)→伏拝岳(8:50,9:25)→七高山(10:25,10:35)→鳥海山新山(10:40)→室堂(11:20,12:30)→伏拝岳(13:09,13:20)→河原宿(15:00,15:30)→滝ノ小屋登山口(16:40)
滝ノ小屋登山口(16:40)==鳥海山荘(17:00)

鳥海山荘(17:50)==鳥海山荘(17:00)==花巻空港IC(20:40)==スーパー(20:45,21:00)==ルートイン花巻(21:10)

天気図

【8月18日(火)】日の出 5:00, 日の入り 19:00  曇りのち晴れ 29.7℃/24.6℃  0.0mm

【8月19日(水)】日の出 5:01, 日の入り 18:59  曇り時々晴れ 31.9℃/23.2℃  0.0mm

天気図、衛星画像 日本気象協会より転載、気象データ:気象庁

交通手段

  • 中央道稲城IC→首都高中央道接続:           490円
  • 首都高中央道接続→首都高東北道接続:         1,320円
  • 山形自動車道湯殿山IC→均一:             210円
  • 山形自動車道湯殿山IC→均一:             630円
  • 日本海東北道酒田本線:                 310円
  • 湯沢横手道路十文字線IC→釜石自動車道花巻空港IC: 2,560円
  • 釜石自動車道花巻空港IC→首都高東北道接続:     10,500円
  • 首都高東北道接続→首都高中央道接続:         1,320円
  • 首都高中央道接続→中央道稲城IC:           490円

宿泊

  • 鳥海山荘(鳥海山 登山プラン): 12,150円(1泊3食付き)

日帰り温泉

  • 鳥海山荘(日帰り入浴):      520円

行動記録

 百名山の旅は8月初に白山を制覇し残り5座になった。 今年は当初東北の早池峰山、鳥海山にまず挑戦してから白山という順番であったが、今年は長梅雨でまた東北地方が8月に入ってもなかなか天気が良くないので白山に行ったのであった。
 白山の後、しばらく東北地方の天気に注意を払っていたが、特に鳥海山は海岸沿いということもあって天気予報が晴れであってもネットのライブ中継を見ていると雲がかかっていることが多い。 お盆休みも明けてから天気図を注意してみていたが、8月18日頃から高気圧に覆われる予想となった。そこで盆明けではあるが急いで休暇を申請し、鳥海山、早池峰山の山旅に出かけることにした。
 今度はひとりで行くのでロングドライブを考慮し登山口での車中泊は止めて、まず鳥海山の麓にある鳥海山荘を、また翌日の早池峰山は花巻市のルートイン花巻を予約し、ホテルのベッドでゆっくり寝てから登山に臨むこととした。

【8/18(火) 晴れ、無風】

 朝6時前に自宅を出る。幸い首都高では渋滞に出くわすことなく東京を通過することができた。 そして東北道に入るとここからは長い。平日のせいかやたらトラックが多い。 朝飯を蓮田SAで軽く食べ、ゆっくり東北道を北に向かって進む。 村上JCTから山形自動車道に入り、寒河江SAで昼飯休憩してカツ丼をしっかり食べる。 月山ICまでは以前月山に来た時に経験していたが、そこから先は高速道路はなくなる。 しかし車だけが通るりっぱな道路がそのまま続いており、奥深い山間には立派な橋も架けられており高速道路並みに走りやすい。 そして湯殿山ICから再び高速道路となり日本海自動車道と通って酒田中央ICでやっと高速道路を降りた。
 その後は酒田市郊外の広く開けた田園地帯の中を鳥海山に向け進む。 残念ながら鳥海山は雲に覆われて姿がはっきりしなかったが、山麓のアスファルト道を上っていってやっと鳥海山荘に到着すると目の前には静かに鳥海山が横たわっていた。


鳥海山荘

明日登る鳥海山

 鳥海山荘なかなかりっぱな建物である。 駐車場に車を止めあたりの車のナンバーを確かめる、とやはり庄内とか山形ナンバーであり東京のナンバーは私の外に1台だけであった。
 おしゃれなアプローチを抜け玄関を入るとそこは広いロビーになっていて大きな暖炉もある。 マスクを付けて受付を済ませ、割り当てられた部屋に入るとベッドが2つあるツインルームで大きな窓からは庄内平野が見渡せた。
 風呂に入って6時から夕食ということで広い食堂に入ると係りの人から4人掛けテーブルの席に通された。 テーブルには3段重ねのお重があり様々な酒のさかなが載せられていた。生ビールを頼んでぼちぼち食べていると係りの人がすき焼のコンロに火を点けてくれた。 ビールを飲みながらいろんなおつまみをつまんでいると、まだすき焼きに手を付けていないうちに今度は牛タンが運ばれてきた。 さらにその後揚げたばかりの天ぷらも運ばれてきたではないか。さらにビールを追加しひととおり箸をつけて食べ終えた頃、やっと山かけご飯とみそ汁、いやはやなかなか豪勢である。お昼にカツ丼など食べるのではなかったと反省。テーブルには明日の朝と昼のおにぎり弁当もすでに置かれていた。
 やっと食べ終え満腹になってコーヒーを飲んでいたら近くで食べていた若い女性がやってきて、明日山に登るのか、アイゼンは必要かと尋ねてきた。 アイゼンは持ってきていると言うので、そこは当然持って行った方がよいでしょう、と答えておいた。こちらが一人で豪勢な夕食と格闘している間、離れた席でひときわ会話が弾んでいる4人グループのひとりであった。

【8/19(水) 晴れ、微風】

 朝5時に鳥海山荘から登山口までシャトルバスが出る。支度して玄関で待っていると昨日の夕食の御一行が出てきた。 男性1名に女性3名のパーティである。ザックをみると確かに小さいのでアイゼンを持って行くかどうか迷っていた理由が分かった。 このパーティも東京から来たとのことで、感染者の多い東京からやってきたということで仲間意識が芽生えたせいか、一緒に行動することとなった。 マイクロバスは座席の隣に人を座らせないよう張り紙、また運転席とはビニールシートで隔てられていた。まだ薄明るい早朝の中バスが登山口へと登っていくと途中で東の空からまぶしい朝日が昇ってきた。
 登山口にはちょっとした駐車スペースがあり、数台の車が止まっていた。ここで車中泊した登山者がそぞろ出かけるところであった。


駐車場

登山口

 登山口で登山届を出して例の4人組パーティから少し離れて出発する。最初は快適な登山道で、あまり傾斜もなくほどなくして滝の小屋に到着した。小屋の後ろに遥か彼方に鳥海山の山頂が望める。


滝の小屋

滝の小屋から鳥海山

 滝の小屋から八丁坂と呼ばれ本格的な登りとなる。樹林帯ではないので道の両側に高山植物が咲いている。高度を稼ぐうちに眼下に日本海が見えてきた。


急登りであるがあたりは高山植物

日本海が見えます

 一旦傾斜が緩くなったと思ったらやがて河原宿の小屋に到着。鳥海山がずいぶん近くになってきた。それに雪渓が見える。小屋の前には雪渓からの雪解け水であろうか、小川が流れている。


河原宿から鳥海山

心字雪

 河原宿小屋で少し休憩し再び沢沿いを登っていく。道の側にはニッコウキスゲなど高山植物があたり一面咲いている。4人組パーティの男性が最初の雪渓でさっそくアイゼンつけて登っていく。残りの方とこちらは雪渓の脇の登山道をそのまま進む。次に、心字雪と呼ばれる大きな雪渓が目の前に現れる。そこで、さっそく全員アイゼンを付け恐る恐る雪渓に踏み出す。 4人組の女性達はアイゼンをつけるのはもちろん初めてとのことで、アイゼンを取り付けるのに少々時間がかかった。雪渓には踏み跡がないので最初は緊張したが、だんだん慣れてくると岩だらけの登山道よりだんぜん歩きやすいことが分かった。


雪渓を恐る恐る登っていきます

だんだん慣れてきました

 最後の小雪路と呼ばれる雪渓はアイゼンはつけずにトラバースするだけであった。雪渓地帯を抜けるとそこからは岩だらけの急登である。あえぎあえぎ登ってやっと外輪山の一角である伏拝岳に出た。すると目の前に鳥海山の最高峰である新山がやっと見えた。


小雪渓を登り終えて

やっと外輪山の伏拝岳に到着

鳥海湖、秋田県方面

外輪山の奥に鳥海山山頂が見えました

 およそ900m登ってきたので身体は少々疲れていたが、ここからは外輪山を回るだけ。行者岳を通り御室小屋への分岐を越して七高山まで登る。
 七高山は新山よりわずかに低いが山頂に着くと少々ガスがかかって、そこから目と鼻の先にある新岳も時折ガスに遮られていた。そこから一旦戻って御室小屋への分岐を下る。 急なガレ場を下ると新山への分岐に出て、そこからいよいよ新山への登りとなる。コースタイムは10分とあるが、ここからは岩場なのでストックをしまい両手を使って登っていく。 岩のペンキ印を頼りに慎重に上っていく。胎内と呼ばれる大岩の大亀列を潜り抜けてやっと新山の山頂に到着。山頂は非常に狭く、登頂した登山者が代わる代わる記念写真を撮っていた。


まずは七高山に登頂

狭い鳥海山山頂の新山

 新山から御室小屋へ直接下るルートは危険なようなので、登ってきた道をそのまま引き返す。御室小屋への分岐に戻り、晴れ渡った中を外輪山に沿って歩く。周りの景色も見えて気持ちが良い。それにやたらトンボが多い。


山頂付近は崖です

外輪山の行者岳

 再び伏拝岳に到着。思ったより時間がかかった。そこからは登山口までコースタイムで3時間。なんとか鳥海山荘のシャトルバス出発時刻の4時までには間に合いそうだ。


小雪渓をトラバース

心字雪の雪渓を下ります

 さて下山でまたまた雪渓歩きを楽しむ。心字雪ではアイゼンをつけ出来るだけ雪面を下る。雪渓横の登山道は岩だらけで歩きにくいからである。 最後の雪渓も出来る限り雪の上で、と思ったが結局登山道は雪渓と離れてしまった。しばらくアイゼンを付けていたが泥んこになるだけなので仕方なく取り去った。 楽しい雪渓歩きに変わって、岩がゴロゴロした道に閉口しながらやっと河原宿に到着。ここで時計を見たら3時を過ぎていた。さあ大変、4時のシャトルバスに間に合わない。4人組パーティのひとりが携帯電話で鳥海山荘に連絡してくれた。


雪渓の横の道は岩だらけで歩きにくい

雪渓は終わり山道をひたすら下山

 河原宿からの八丁坂も急な下りであるが高山植物が咲き乱れている。時折写真を撮りながら下っていると、4人組の一人が足をねん挫したという。パーティの代表らしき男性と面倒見ながら一緒に下山する。


チングルマ

枯れたチングルマ

 やっと滝の小屋に着いたが4人組の2人の女性はすでに登山口まで下山してしまったらしい。男性の方と話していると4人組もシャトルバスを遅らせたはいいのだが、今日中に電車で東京に帰るということで、バスをあんまり待たす訳にもいかないとのこと。こちらも今日中に花巻までの移動を控えている。


河原宿から下りてきた雪渓を振り返る

やっと下山しました

 やっと登山口に到着すると先に下りた女性はクーラーの効いたバスの中で待っていた。当初の計画では登山口に3時頃到着であったが、時刻はすでに4時40分であった。我々がバスに乗り込むとすぐに鳥海山荘に向けて出発。
 バスの中ではみんな疲れ果ててぐったりしていたが、予想よりかなりきつかったこと、雪渓歩きを楽しむことが出来てよかったなどと話し合った。4人組はあまり登山の経験がなく軽く考えていたと、こちらも思ったよりきつかったと返事すると元ワンゲルの先輩のおかげですと感謝された。という私も実際ゆっくり昼食をとる時間がなくなるほどきつい山行になるとは思っていなかった。
 鳥海山荘には5時前に到着。4人組は明日は仕事ということで新幹線の時刻を気にしていて、風呂も入らず急いで着替えてすぐ出発すると言うのでお互い挨拶して別れた。こちらはひとまず鳥海山荘でひと風呂浴びて、6時前にはマイカーで花巻に向けて出発した。あたりは夕暮れに染まっていた。

【鳥海山で出会った高山植物】

鳥海山では思いのほか、たくさんの花に出会いました。


ハクサンフウロ

コガネギク

チングルマ

ヒメシャジン

感 想

 鳥海山、最初はそんなにきつい山とは思わなかったが、結構岩がゴロゴロした箇所があり、特に新山への登りでコースタイム10分のところ倍くらい時間がかかった。疲れていたことと両手を使わないと登れないほど大きな岩が立ちはだかっていた。 山頂から見る景色は晴れていたので360度の素晴らしい眺望であるが、残念ながら東北地方の山々がよく分からない。出羽山地、奥羽山脈の山はあまり標高がなくまた特徴のないので仕方ない。でも今回の山行では雪渓歩きを楽しめたのが良かった。雪渓の上と岩が多い登山道の違いがよく分かった。アイゼンを持っていって正解であった。一緒に行動した4人組も私のアドバイスに感謝してくれていた。当然ですよね。あの雪渓をアイゼンなしで歩くにはちょっと危険である。4人組も初めてのアイゼン歩きを楽しんでいた。
 鳥海山登頂で百名山は96座制覇したことになり、残り4座である。さて次に攻める東北の百名山は早池峰山である。

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