九州山旅顛末記 2015年4月4日~11日
 出張で貯めたマイレージが2月に切れるので、せっかくタダで飛行機が乗れるので、どこに行こうか今年の正月あたりからにわかに考え出した。
 過去に赴任した沖縄はもう何回も行っているし、北海道はやはり寒い時期で山登りも出来ない。 そこで百名山ハンターとして私としては、九州地区の百名山に目を転じた。 九州の山といえば学生時代の屋久島宮之浦岳を征服しただけで九州本土の山はまったくの手付かず状態であった。 また九州そのものも昔出張で長崎は2回ほど行ったが、後は熊本と宮崎をそれぞれ1日滞在しただけで九州は私にとってはまだまだ未知の土地であった。  さっそく百名山を調べると、高い山は祖母山程度で麓の登山口からほとんど日帰りでは登ってこれる、また百名山のガイド本にも暑い夏を避けて春先に回るのが良いとあるではないか。
ということで、九州の百名山を目的に計画を練る。それで飛行機の予約であるが、マイレージは早く予約しないとすぐに満席となってしまう。 2ヶ月先まで予約受付とあるので、4月に行くこととし、5月の大型連休前はちょっとまずいので第2週に決めて予約した。 それにしても最後のマイレージ特典の旅である。近頃とんと出張がなくなりさみしい限りである。 これまで海外旅行で飛行機代を自分で支払ったのは新婚旅行ぐらいなもので、マイレージ特典で家族でハワイ、ヨーロッパ、50歳のリフレッシュ休暇でおふくろを連れてのイタリア旅行、それに定年前には家内と南仏旅行もすべてマイレージ特典の旅であった。
 さて九州の百名山であるが九州本土には5つあり、開聞岳、霧島山は南九州であるが、阿蘇、九重、祖母山は熊本、大分なのでちょっと離れている。 マイレージ特典の旅は行先は一つに絞らなければならないので結局鹿児島をベースとし、熊本へは新幹線で移動するという計画にした。 それにしても鹿児島・熊本間は新幹線だと45分程度で案外近いことを知る。 昔出張で熊本から宮崎に向かうのに最初高速バスに乗ろうとしたが、すでに満席で乗れず、さっそくJRに切り替えたがローカル線は大雨の影響によるがけ崩れで途中普通区間があり、代行バスを乗り代えたりして、やっとの思いで反対側の宮崎に着いたことを思い出す。
 最初の開聞岳であるが、ここはやはりよく菜の花越しの開聞岳を期待してローカル線に乗ってのんびり行くこととした。 後は霧島山にしろ九重山、祖母山にしろ公共交通機関のバスは便数が少なくやはり不便なので、レンタカーで巡ることとした。
 家内に4月に九州に行くよ、と言うと「ななつぼし」だったら行ってもよい、とけしからん言葉帰ってくる始末。 「どこに行くのかちゃんと書いといて、遭難しても知らいないから。」とまったく興覚めの返事である。 友人にも一応声をかけたが、やはり4月の新年度早々1週間も年休とって付き合ってくれる者はおらず、結局今回はひとりのんびり山旅ということとした。 それで、九州山旅の日程は下記のとおりとなった。
月日 行 動 予 定 宿泊
4月4日(土) 東京羽田空港→鹿児島空港、鹿児島中央駅→開聞駅 かいもん山麓野営場 テント泊
4月5日(日) 開聞岳往復、開聞駅→鹿児島中央駅(レンタカー借)→えびす高原キャンプ場 テント泊
4月6日(月) 霧島山韓国岳往復、えびす高原→鹿児島中央駅(レンタカー返却)→熊本駅 ホテル泊
4月7日(火) 熊本(レンタカー借)→阿蘇山高岳往復、阿蘇→久住登山口→坊ヶツル法華院温泉 テント泊
4月8日(水) 九重山往復、久住登山口→祖母山登山口 車中泊
4月9日(木) 祖母山往復、祖母山登山口→熊本駅(レンタカー返却) 熊本市内観光 ホテル泊
4月10日(金) 熊本駅→鹿児島中央駅 鹿児島市内観光 ホテル泊
4月11日(土) 鹿児島空港→東京羽田 -

~開聞岳(924m)~
◆ 山行概要
報告概要 九州の百名山である開聞岳に行ってきました。
山行日 2015年4月4日(土)~5日(日)
開聞岳山頂にて
天気 曇り、微風
企画 個人企画
装備 10kg程度(テント泊まり装備)
同行者 単独行
コース
概要
かいもん山麓公園野営場 ⇔ 開聞岳登山口 ⇔ 5合目見晴台 ⇔ 仙人洞 ⇔ 開聞岳山頂
行動記録
【4/4(土)曇り、微風】
自宅(6:50)==東京羽田空港(9:40)✈鹿児島空港(11:25)==鹿児島中央駅(16:01)++開聞駅(17:39)-- かいもん山麓野営場(18:10)
【4/5(日)曇り、微風】
かいもん山麓野営場(6:00)--0:15--2合目登山口(6:16)--0:10--2.5合目登山口(6:27)--0:15--4合目(6:42)--0:15--5合目(6:55) --0:30--7合目(7:25)--0:10--仙人洞(7:34)--0:05--8合目(7:40)--0:20--9合目(7:58)--0:15--開聞岳山頂(8:12,8:42) --1:45--かいもん山麓野営場(10:25)
行程図

カシミールにより作成
天気図
【4/5(日)】 日の出 6:02, 日の入り 18:40
        晴れ、気温:26.2℃/21.0℃、湿度:78%、風:西 5m/s、降雨:0.0mm

   
Yahoo!天気情報 過去の天気より転載 @鹿児島
◆ 山行資料
アプローチメモ
交通手段 ・全日空ス      羽田空港→鹿児島空港   マイレージ
・南国交通高速バス  鹿児島空港→鹿児島中央駅  1,250円
・JR指宿枕崎線   鹿児島中央駅→開聞駅    1,290円
キャンプ場 かいもん山麓野営場 キャンプ場使用料  1,230円
◆ 日誌と写真
行動日誌
【4/4(土) 晴れ、微風】
 久しぶりにテント、寝袋を詰めてデカザックになったが、九州でレンタカーを運転するとなると登山靴という訳にもいかずジョギングシューズで自宅を出かける。  それで、登山靴はサブザックに入れて、デカザックを担いで手にサブザックというちょっと荷物が多く電車で羽田に行くのが億劫になる。 幸い土曜日ということで電車も比較的空いていたのでよかったが、平日の満員電車であればおそらく嫌がられること間違いなし。 空港に着きデカザックを預けてやっと身軽になる。
 天気は東京ではまあまあの天気であったが、鹿児島空港に着くと曇り空、鹿児島市内に行くバスに乗るとやはり小雨が降ってきた。ただ妙に暖かい。
 さて鹿児島中央駅に着くとデカザックとサブザックの荷物を抱えて、まずさっそくやることはコンロのボンベを購入することである。 空港高速バスはモンベル鹿児島店がある天文館で降りる。そこでボンベを購入する。 それから昼飯、食料調達となるが、デカザックにサブザックを抱えて動き回るにはちょっとやっかいである。 混雑するデパ地下に行ってトンカツ屋に入る。 鹿児島なので黒豚ロースでも、と思ったが周りを見るとこの最高メニューを食べている客は居そうもないので、上から2番目に高いローストンカツを頼む。 黒豚はまあこれから滞在期間も長いので後の楽しみ、ということにした。

鹿児島中央駅の枕崎指宿線ホーム

雲がかかった開聞岳
 さて昼食を食べてから今晩の食料をこのデパ地下のスーパーで調達、デカザックにサブザック、それに食料の入ったポリ袋ともう両手はふさがった状態。 ローカル線の16:01発までまだたっぷり時間がある。デカザック、サブザック、ポリ袋で歩き回るのは疲れるので、やむなく駅のホームのベンチで昼寝。 そしてやっと時間つぶしてから2両編成のローカル線に乗り込む。「開聞駅」まで1時間半のローカル線の旅。 車内は閑散としたものであるが、私の目の前の座席には高級一眼レフカメラを大事そうに抱えた若い男の人が座っていた。 声をかけようかな、と思ったが、ヘッドフォンステレオで好きな音楽を聴きながら車窓の景色を楽しむ。時折日差しが出るものの桜島は雲にかかって見えず。 その後ウトウトしてきて眠気に誘われたが、しかしこの「ななつぼし」よく揺れる。

無人駅の開聞駅

広い芝生広場のテント
 指宿も過ぎ、いよいよ開聞岳に近づいてきて、「西大山」という駅で社内アナウンスがJR最南端の駅との案内があり、電車が駅に止まるとあの目の前のカメラマンもあわてて下りる。 そういえばそのような観光客が2~3人いたのかこの駅で降りる。駅のそばにも観光バスが団体客を連れてきているではないか。 それで開聞岳ですが、あいにく山も半分くらい上は雲の中。 よく観光旅行の写真にある菜の花越しに青空をバックに開聞岳という訳にはいかず、少々がっくり。 「西大山駅」からはさらに人が少なくなり、開聞岳の登山口にある「開聞駅」を下りたのは私の他は若い女性が一人であった。 その女性も地元の方なのか、駅を降りるとさっさとどこかに行ってしまった。 駅から登山口のキャンプ場まで30分の道のりであるが、デカザックにサブザック、ポリ袋を抱えてトボトボ歩く。普通の舗装道路であるが緩やかな上り坂で汗がたらたら。 もう少しでキャンプ場と思うが、やはり暑いので長袖を脱いでデカザック、サブザック、それに脱いだ衣服を持ちながらへとへとになってようやくキャンプ場の管理棟に着く。 もう夕方の6時くらい。ただ辺りは明るいので、さっそく芝生の広場にテントを張る。 ここはオートキャンプ場にもなっていて春休みのせいか2、3のロッジで家族ずれが夕食パーティをやっていた。 こちらは、ひとりビール、それに鹿児島中央駅デパ地下で買ったデリカ弁当を肴に鹿児島焼酎を呑んで寝る。
【4/5(日) 晴れ、微風】
 さて野営場を過ぎてしばらく舗装道路の登るとすぐに登山口になる。そこから山道になるが整備されていて、また2合目、3合目といった標識があり、登り具合がよくわかる。 登山口は2合目にあたるようであるが、5合目ではりっぱな展望台が備えられている。ただ本日は残念ながら下界がうっすら見える程度。期待していた海もまったく見えず。 そこからは雲の中をひたすら登る。7合目あたりから大きな岩の道となり、濡れていて滑りそうで気を引き締める。 そういえば、百名山にしては人に遭わないな、と思っていたらひとりだけ下山してきた。 九州人はあまり開聞岳に興味ないのかな、とかこんな天気では誰も登らないのか、と思ったりしてやがて山頂に。
 山頂には東京から来た親子連れがいた。屋久島を登ってきて、ここ開聞岳に来たとのこと。屋久島はまだ天気が良かったが、今日は天気が悪いね、とのこと。 まあひとり黙々登っていたせいか、山頂で人に遭えて天気の愚痴を言いふらす自分でした。子供の方は小学生4年生とのことで、ちっちゃなモンベルの登山靴を履いていた。 親子は私より前に着いていたので、先に下りていく。ひとり残され改めて標識を見ながらあの方向に屋久島、種子島が見えるんだろうな、 とその方向に目を凝らすも雲の中で何も見えず。付近には皇太子殿下の登頂プレートがあるが、皇太子は登頂した時はどうだったのであろうか。 皇太子殿下が登るとなると天候も選んで登られるのであろうな、と思ったりする。
 雲の中で何もする気もなく、飴玉を1個口の中に放り込んで、そこそこと下り出す。 下りは例の石の道はいかにも滑りそうで慎重に下るが途中滑ってしまい、後頭部を岩にぶつけてしまった。 単独行の危険を頭をよぎる。少々痛むが痛いが、神経はしっかりしているし、歩けないほどでもないのでほっとする。 ここで歩けなくなったら、こう人が少ない山では見つけ出されるまで相当時間がかかり、最悪ビバークということにもなりかねないな、と思う。 が、しかいその後下っていくとあのキャンプ場でテントを張っていた高校生のグループが大挙して登ってくるではありませんか。 どこから来たの?と尋ねると宮崎県だとのこと。 若い明るい挨拶を後に、またしばらくすると今度は中高年の団体、20~30名ほどいるかと思われるほど、ずいぶんすれ違うのに時間を要した。 しかし、こう団体が登るとあの狭い山頂はごった返すことでしょう。 で、やはり百名山、九州の端に位置する山と言えども、百名山となるとやはり人が押し寄せるのですね。

登山口

5合目の展望台

5合目の展望台からの眺め

この案内盤のように景色が広がるはずだったが・・・

一ヶ所梯子あり

皇太子殿下登頂記念プレート
 キャンプ場に下りてくると雨もぽつぽつ降ってきたので、急いでテントを撤収する。 するとそれまでパターゴルフをやっていたのか地元の老人がやってきて、テントについていろいろ尋ねる。 重さはどのくらい? 2重になっているの? とか、それに熱心にテントの構造を観察する中を、こちらは雨が降ってきたので出来る限り濡れないよう早く撤収を済ませたいのにひつこくまとわりつく。 地元の老人なので人との出会いも旅の楽しみなので、嫌な顔もせず答えていた。 これから鹿児島に行く、というと鹿児島は自転車で回ればいいよ、わしもこのようなテントを持って自転車旅行したい、とかおよそもうそんな体力がありそうもない方でしたので、そのギャップがおかしかった。 するとパターゴルフの仲間から「本日の結果、○○(下の名前で呼んでいる)が優勝、後・・・、今日は○○のおごりだな。 さあ呑みに行くべぇ」ということでやはり地元の老人会らしく、自転車旅行をやるような雰囲気はなさそうであった。 さて老人クラブの一団が去って、こちらはテントをやっとデカザックに積み込んだら時刻は11時頃、ひょっとして予定より前の電車に乗って鹿児島に行けるかもしれん、と思い、ごみを出しに管理棟に行って時刻表を調べると予定の14:06の前は朝の8時頃の電車しかなく、やはりローカル線の不便さを認識する。
 時間があるので、このキャンプ場にある蕎麦屋に入る。閑散としているが地元で取れた蕎麦粉それに野菜を使った手作りの店ということで雰囲気は良かった。 850円のそば定食が一番高いメニューで、それを注文、雨はどうにか降らず、解放した大きな窓から心地よい風が流れ、そばもそこそこおいしかった。

開聞岳上部はあいかわらず雲の中

錦江湾、その先に桜島が見えるはずだが
 昼食も終え、またトボトボとキャンプ場から開聞駅に向かう。駅に着いてもまだ1時間もあり、駅の周りをちょっと散策したが、案の定店など何もない。 駅のベンチでウォークマンで好きな音楽を聴いて電車を待つ。そのうち若い2人連れがきたが、どうも観光客みたいであるがどこか民宿などあるのであろうか。 やっと電車がやってきて、すると外国人が降りてきた。こんなところまで旅行か、と思いつつ電車に乗り込む。
 鹿児島までの1時間半の長旅、退屈であるが鹿児島中央駅で置いてあった無料の観光案内をいろいろ見ていると、その中に九州全部が乗っている図があり、 その地図から鹿児島と熊本が以外に近いことが分かる。 予定では、翌日に霧島山からレンタカーを返すため鹿児島に帰るのであるが、霧島山からそのまま熊本に行けばいいんじゃん、鹿児島に戻るよりちょっと遠いだけ、ということが分かった。 そういえば、開聞岳山頂であった親子連れのお父さんから九州はレンタカーが安くて便利だね、という言葉が頭に残っていた。 それに九州新幹線で鹿児島から熊本に行くのもレンタカーの料金に比べて少々高いし、そのままレンタカーを借りっぱなしにしよう、もうそれしかない、という気になる。
 鹿児島中央駅に帰ってきてさっそくレンタカー屋に行って交渉するもすんなりOKの返事。 車が手に入り、これまでデカザックとサブザックで両手が使えず歩き回るのに苦痛であったが、レンタカーで手荷物のわずらわしさから解放される。
 さて今夜の宿泊場所である霧島山の登山口である「えびの高原」に向けて出発。
 霧島山に続く
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