利尻岳(1,721m)
◆ 山行記録
山行概要
報告概要 北海道の百名山である利尻岳に行ってきました。
山行日 2018年8月4日~5日
利尻岳山頂にて
天気 8月4日(土)  快晴、微風
8月5日(日)  快晴、微風
企画 個人企画
装備 7-8kg
同行者 単独行
コース
概要
利尻北山麓野営場―甘露水―第一見晴台―第二見晴台―長官山―利尻山避難小屋―沓形分岐―利尻岳

行動記録
【8/4(土)晴れ、微風】
自宅(9:10)==羽田(10:25)✈✈✈稚内(12:15)==フェリーターミナル(13:00,16:40)==鴛泊(18:20,18:30)---利尻岳北麓野営場(19:30)
【8/5(日)晴れ、微風】
利尻岳北麓野営場(5:00)→0:15→分岐(5:15)→1:40→第一見晴台(6:45)→1:10→第二見晴台(7:55)→0:15→ 長官山(8:10)→0:15→利尻山避難小屋(8:25)→0:30→ 9合目(8:55)→0:30→沓形分岐(9:25)→0:30→利尻岳

行程図


国土地理院地図より作成

天気図
【8/4(土)】 日の出 4:23, 日の入り 18:59  晴れ 21.3℃/16.7℃, 76%, 北 5m/s, 降雨量 0.0mm,
   
【7/15(日)】 日の出 4:24, 日の入り 18:58  晴れ 24.2℃/14.4℃, 53%, 東北東 5m/s, 降雨量 0.0mm,
   
Yahoo!天気情報 過去の天気より転載 @宗谷地方(稚内)

◆ 山行資料
アプローチメモ
交通手段 ・航空便(羽田→稚内):          21,270円(スマートシニア割)
・バス(稚内空港→フェリーターミナル):    600円
・ハートランドフェリー(稚内→鴛泊):    2,140円
野営場 ・利尻北麓野営場 テントサイト        500円
温泉 利尻富士温泉    日帰り入浴   500円 (礼文島で温泉に行くこととしたためパス)
◆ 日誌と写真
行動日誌
 利尻岳、道内の8つの百名山は2回の北海道遠征で制覇していたが、この利尻岳だけが残っていた。 また屋久島と並んで島自体が山で海抜0mから山頂の1,721mまで一気に登り下るというちょっとハードな山である。 従って、なんとか体力のあるうちに挑戦しておきたい山として残っていた。 ただ10年ほど前、留萌から稚内までドライブしたが、日本海は曇っていて沖にある利尻岳が見えなく、かすかに島影を認める程度であった。 また稚内から宗谷岬方面にいったところにあるペンションに泊まったことがあるが、やはり曇り空でオホーツクは霧がかかっていた。 8月の道北はどうも霧が出易いようで晴れ渡った日が少ないという印象を持っている。
 利尻岳を狙うにしてもせっかく大枚はたいて北海道に行くのであるからには晴れている日を選びたい。 そこで我々シニア―にとっては全日空さんが誠にありがたいスマートシルバー割というものを提供している。 すなわち当日空席があれば半額で航空券が購入できるというサービスである。 そこでそれを使って行くこととし、利尻岳の雪がなくなり登山可能となる6月から利尻島の天気予報を見ながら稚内便の空席情報もネットで時々チェックしていた。 すると稚内便の空きはほぼ毎日あるが、一方の天気予報はやはり利尻島付近で晴れという予報は少ない。 またせっかく晴れという予報であっても仕事の関係で休めない。今年関東では梅雨が6月中に明けてしまい、また例年になく猛暑で連日35度以上という記録が報告されている。 7月の3連休はというと稚内の天気が思わしくないので、直前になって飯豊山に変更した。 8月に入り、やっと週末に稚内付近が天気が良い予報となったので、金曜日に翌月曜日は年休ということで申請し、いよいよ決行することとなった。
 さて持っていくものは、利尻島では登山口は野営場なのでテント泊とし、テント、寝袋、それに食料ということでデカザックとなった。 また利尻岳登頂にはサブザックが必要だったので、結局デカザックにサブザックに登山靴を入れて、スニーカーを履いて出かけることとした。
【8/4(土) 晴れ、微風】
 土曜日の朝、2時に目を覚ましスマホで予約を確認すると、なんと空席は後1席との表示。あわててスマートシルバー割の手続きをスマホで行う。なにせ初めてなので、カード決済にパソコンでの受付確認のメールを受け取っても早く空港に行ってほんとにチケットが発券されるまでは不安であった。
 この午前2時のごたごた作業を終えひと眠りはしたものの結局6時に起きて朝飯も食べずに羽田空港に向かう。デカザックにサブザックというでかい荷物を持っているので電車が空いている早朝の方が良い。9時前には羽田空港に到着し、急いで発券機にカードを入れると通常通りのチケットが発券された。これで安心。夏休みの土曜日で残り1席だったので午前2時に目を覚まして手続きしたことが幸いであった。
 さてチケットは入ったが出発が10:25なのでまだ2時間以上もある。とりあえず手持ちのパンとジュースでテレビを見ながら朝飯とする。久しぶりの羽田空港、いつもながら人込みが多い。スマホの充電などしながら時間をつぶし、やがて搭乗手続きをして機内に乗り込む。晴れ渡った快適な空の旅を経て飛行機は緑の中の稚内空港に到着した。
 空港の周りは緑の草原、青空の下太陽がまぶしい。バスでフェリーターミナルに行く。フェリーに乗る人が多いのか、私の乗ったバスは稚内市内を停車せずフェリーターミナルに直行した。ここでも出発時刻の16:00まで相当時間があり、まずはターミナル2階にあるレストランで昼食を取る。あまりメニューの品数はなく、北海道らしくホタテラーメンを注文する。これはこれであっさりしておいしかった。昼食後、まだまだ時間があるのでフェリーターミナルの周辺をぶらついたりして時間をつぶす。ターミナルの待合室には礼文島の高校生であろうか、どこかのスポーツ大会の帰りのようでジャージを着た若いグループが礼文島行きのフェリーに乗っていってしまい、しばらくターミナルは閑散となる。仕方なしに待合室のイスで昼寝して過ごす。

稚内フェリーターミナル

稚内港を出港
 やっとフェリーの出発の時間となったが、デカザックを担いでいるのは僕ぐらいその他、あとはクラブ〇〇の団体観光客でほとんどが観光旅行者であろう。。
 乗船してから天気がいいのですぐに甲板に出て稚内港を見送る。

利尻岳が近づいてくる

鴛泊から利尻岳
 久しぶりの船旅、天気が良くてノシャップ岬の先にある自衛隊のレーダー基地が手に取るように見える。 そして、なんと遠くの方に利尻岳が見えてくる。利尻岳がだんだん近づくにつれ、ほんとに明日、このような急峻な山に登れるのであろうか少々不安になる。 やがて船はターミナルに着き、旅行客はそれぞれの宿から迎えに来たバスに乗り込んで行く。デカザックを担いで外に出るとタクシーの運ちゃんと目が合う。 野営場までどのくらいと聞くと1,300円から1,400円くらいかな、と答える。 ちょっと考えたが、運ちゃん、まだ明るいから歩いていきなよ、との答えになんと親切な商売っ気がまったくないのに感心する。 まあ登山に来たのだし、この利尻岳は海抜0mから登ることに意義があるとどうでもよい理屈が頭によぎった。
 で、その前に今晩のビールを買いたいのであるが、ターミナルのお店はすでに閉まっていて、運ちゃんに聞くとコンビニが500mくらい行った先にあるよ、とのことでまずはそこに向けて歩き出す。 あたりはまったく歩いている人がいない。
 コンビニに行く途中で雑貨屋みたいなところがあったのでお店の中に入って缶ビールを探したがない、おばちゃんに聞けば隣で売っているよ、とのことで隣に行くとちゃんとリカーショップとの看板がある。 お店の正面陳列ケースからは釣り道具屋と思っていた。さっそく缶ビールを買って、いよいよ北麓野営場に向かう。コースタイムは約11時間半、日没時刻になってだんだん陽が暮れてきた。 まっすぐな舗装道路をひとりとぼとぼ歩く。他に歩いているまったくいない。途中軽自動車が下りてきて、私の横に止まり、今晩テントで泊まるの?と聞く。 そうと答えると明日清算するから、といって車は下っていった。そこでやっとあのおっさんが野営場の管理人だと気づく。 あたりはだんだん暗くなってきたが、予想よりもトワイライトのうちにキャンプ場に到着した。キャンプ場ではテントが5~6張り、また炊事場では中年のご夫婦が自炊していた。
 さっそくテントを張って、缶ビール、それに羽田空港で購入したシュウマイ弁当を食らう。 ほんとに羽田空港で弁当を買っていて良かった。 途中の稚内でもバスの出発がすぐだったのでお店に入る時間はない、またフェリーターミナルでも売店はあったがお土産は売っているものの弁当やおにぎりといったものはまったくなかった。
【8/5(日) 快晴、微風】
 夜中は意外と寒かった。持ってきた寝袋が薄手だったので、ダウンをきて寝る。夜中に目を覚ましテントの外に出ると星が出ているが半月なので満天の星という感じではなかった。やっと4時頃になって起きて、お湯を沸かしてラーメンを作る。ついでにレトルトのおじやも温めて食べる。北の最果てにきているせいか、4時ごろでも結構あたりは明るい。それにどんどん登山客がゲートから登っていく。となりのテントはまだ寝ているようだし、どこから登山客が来るのかと思ってみると宿のマイクロバスで、ここの登山口まで送っているのであった。こうしてはいられないとなんか焦る気になって、さっそくサブザックに食料とカッパ、ヤッケを詰め込んで支度しちょうど5時に出発した。

利尻岳北麓野営場

北麓野営場にある利尻岳登山口ゲート
 登山口から木くずを巻いたようなりっぱ道が続き、ほどなくして甘露泉水に着く。そこでは登山者たちが湧き水を組んでいる。 こちらもペットボトルに満タンにする。そしてすぐに3合目の標識。標高は270mとある。山頂が1721mなので1,500m上り下り、まだまだである。

甘露泉水

3合目(標高270m)
 しばらくは樹林帯の道を登っていくがなだらかである。途中登山者たちと抜きつ抜かれつなだらかな登山道を登っていく。。

6合目(760m)

第一見晴台からの眺望
 分岐からは6合目の第一展望台に出る。晴れ渡った青空の下、眼下に鴛泊港、利尻空港、それに礼文島が望める。 一方山側をみると利尻岳は望めず登っていく登山道が見える。

第二見晴台(1120m)、向こうに見えるピークは長官山

第二見晴台からの眺望
 第二見晴らし台に出て眼下を望むとさらに高度を増したことが分かる。一方山側に目を転ずれば長官山らしきピークが見える。

8合目、長官山(1218m)

長官山からの眺望
 8合目に到着し、やっと今日の主峰利尻岳がまじかに気付いてきたのが分かる。眼下に目を転じると鴛泊の港もちっちゃくなり高度が増したことが分かる。 ここからはしばらく稜線歩きといった感じで少々下ったところに避難小屋がある。

利尻岳に続く稜線、下の方に避難小屋が見える

利尻岳避難小屋
 9合目に来たが標高が1,410mとの表示。何をもって各合目を決めているとしているのか分からないが、山頂まであと300mも残して9合目とはちょっと標高差で決めた訳でもあるまい。 あと300m。確かに9合目の標識に「ここから正念場」と記載されているとおり、傾斜もきつくなり、それなりに長い。足場も溶岩の小石や砂で滑りやすい。 このように大勢の登山客が登るとほんとに山が削られていくような気がする。 道はそれをなんとか食い止めようと木製の階段を作ったり、小石や砂利を円形の枠で固定していたりして、登山道の整備に並々ならぬ努力されていることに頭が下がる。 そういう道なのでこちらもなるべく滑らないよう、また小石や砂利を動かさないよう慎重に登っていく。

9合目(1410m)

沓形コースとの分岐
 もっとも荒れた箇所を過ぎたあたりでやっと山頂の祠が見えた。山頂に着き、とうとう念願の利尻岳を制覇したことに嬉しさがこみあげてくる。

山頂の祠が見える、あともう少し

山頂の様子
 山頂でさっそく祠をバックに記念写真を撮ってもらう。快晴で360度の大展望、広大な山裾から海岸線、そこから遠く真っ青な海が続いている。 山頂の隣にはろうそく岩がで~んと突っ立って迫力を感じさせる。またあたりはなんと一面のお花畑である。

利尻岳本峰とろうそく岩

イブキトラノオの群落とろうそく岩
 しばらく残っていたパンやフルーツゼリー食べながら、景色を楽しむ。山から海を眺める風景も壮観で素晴らしい。

急激に崩れている

下り道
 山頂に30分ばかり過ごしたであろうか。海岸までの長い道のりをゆっくり下ることとした。途中崩れているところはもちろん小石や砂をこれ以上落とさないよう慎重に下る。時折、道端に咲いている登山植物にも目にやるが、名前がさっぱり分からない。これまでひたすら登ること、高いところからの景色を楽しむことだけしかしなかったせいであるが、年取ったせいか可憐な高山植物にも目をやるようになっている。

崩れている登山道

イワギキョウ
 もう太陽が高く暑いのに、こんな時間で登ってくるものがいる。概して若者である。 まあ今日みたいな日は雲にあわずに景色を楽しむことができるだろうが、山をやっている僕としてはどうも自然をなめているとしか思えない。
 第一見晴台で最後の休憩をとっていたところ、一人の男性、それもイギリス人らしく外国人がのんびり海を眺めていた。 爽やかな風を受け、明るい海を見ているこちらも、ほんとうにのんびりしてくる。

エゾイヌナズナ

第一展望台より礼文島を望む
 第一見晴台で残りのフルーツゼリーを食べながらふと思いついた。 そうだ、礼文島に行こう。礼文島行きは頭の片隅にあったが、事前に調べている訳ではなく、なんとなく高山植物がきれいな散策コースがあるといった程度。 しかし、この天気、明日も続くとの予報となれば、このまま東京に引き返すにはなんともったいない気分になる。ただ休みを延長しなければならない。 また来れる場所でもないので、例え来れたとしてもこのような天気に巡り合えるとは限らないので、礼文島に行くことに決心した。 職場の休みはなんとかなる。

北麓野営場に到着したら私のテントのみ

さらば、北麓野営場
 登山道を下りながら、礼文島への計画を頭の中でぐるぐる考え出す。確か鴛泊から礼文島にフェリーが出ているが、時間は稚内便より早く15:30発である。 そう確かめるとぼやぼやしてられない。北麓野営場に着くと私の黄色いテントだけがぽつんと立っている。 先に管理棟に行ってテント代の支払いを済ませ、温泉とか礼文島へのフェリーなど情報を得る。 急いで太陽で暑くなったテントを撤収し、デカザックに詰めこんで野営場を後にする。 フェリー乗り場に行く途中、町営の温泉があるが、汗をかいているので一風呂浴びたいところだが、フェリーの時間に間に合わなくなるので、我慢した。 途中、ザックに寝袋をぶら下げた若い男性、また中年のご夫婦らしき登山者にすれ違う。これから利尻岳を目指すんだ。 やはりこうして歩いて野営場まで来る人に出会い、なぜかホッとする。

海岸の町にまっすぐに続く道路

フェリーターミナルと利尻富士
 フェリーターミナルでさっそくトイレで汗をぬぐう。そして缶ビールで喉を潤す。ただ残念ながらレストランは閉まっている。 そして案内所で、今夜の礼文島の宿について尋ねる礼文島の観光案内パンフレットを手渡され、ここに宿のリストが乗っているから、礼文島に着いたら観光案内所で空きを確かめたら、またこの時期混んでいるよ、とつれない返事。 礼文島へのフェリーはあまり客がおらずどこもがら空き状態である。またフェリーに乗っている間、礼文島でもテント泊かと少々不安を感じていた。
感想
 利尻岳、振り返ってみると9合目まではだらだらした登りでそう疲れは感じさせず、9合目からが勝負の山であった。 なんだかマラソンでいう30kmか35kmといったところか。その苦しさを経て山頂に立つことができるので、その分感動を味わえるといったところか。 また北海道の百名山はこれで制覇したことになり、いよいよ百名山完全踏破の道筋が見えてきた。
 利尻島。島の語源はアイヌ語の「リイ・シリ」(高い・島)。それはまさしく島自体が山で、それも凛々しい高い山であった。
 さて突然の行き先変更であるが、礼文島の旅、どうなりますことやら。。。

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