塩見岳(西峰 3,047m)
◆ 山行記録
山行概要
報告概要 南アルプスの百名山である塩見岳に行ってきました。
山行日 2021年9月6日~9日
塩見岳山頂にてUさんと
天気 9月6日  晴れのち曇り
9月7日  曇りのち雨
9月8日  雨のち曇り
企画 個人企画
装備 7-8kg
同行者 Uさんとふたり
コース
概要
鳥倉林道ゲート駐車場━鳥倉林道登山口━塩川・鳥倉ルート合流点━三伏峠小屋━三伏山━本谷山━塩見小屋━塩見岳

行動記録
【9/6(月)曇り、微風】
自宅(12:15)==国立府中IC==岡谷JCT==駒ヶ岳SA==松川IC(16:05)==鳥倉林道ゲート駐車場(17:30)
【9/7(火)晴れのち曇り、微風】
鳥倉林道ゲート駐車場(7:20)→鳥倉林道登山口(7:58,8:08)→豊口山のコル(9:15,9:18)→ほとけの清水(10:16,10:22) →塩川・鳥倉ルート合流点(10:50,11:22)→三伏峠小屋(11:40)
【9/8(水)曇りのち雨、微風】
三伏峠小屋(4:31)→三伏山(4:44)→本谷山(5:34)→塩見小屋(7:11)→塩見岳(8:31,8:41)→塩見小屋(9:54,10:04) →本谷山(11:47)→三伏山(12:40)→三伏峠小屋(12:53)
【9/9(木)雨のち曇り、微風】
三伏峠小屋(7:50)→鳥倉林道登山口(9:50,10:00)→鳥倉林道ゲート駐車場(10:35)
鳥倉林道ゲート駐車場(11:00)==望岳荘(12:30,14:00)==箕輪町福与(15:50)

行程図

国土地理院地図より作成

天気図
【9/7(火)】 日の出 5:24, 日の入り 18:07  晴れのち曇り 26.6℃/13.4℃, 南 2.0m/s, 降雨量 0.0mm,
   
【9/8(水)】 日の出 5:25, 日の入り 18:06  曇りのち雨 22.2℃/16.9℃, 南 2.7m/s, 降雨量 0.0mm,
   
【9/9(木)】 日の出 5:25, 日の入り 18:04  雨のち曇り 27.7℃/16.8℃, 北北東 0.9m/s, 降雨量 0.0mm,
   
日本気象協会 過去の天気より転載 @長野(伊那)

◆ 山行資料
アプローチメモ
交通手段 ・中央道(国立府中IC→松川IC):     5,300円
・中央道(松川IC→高尾山IC):      4,150円
                総距離: 532.8km
宿泊 ・三伏峠小屋          10,000円(1泊2食)
温泉 望岳荘            日帰り入浴  500円
◆ 日誌と写真
行動日誌
 いよいよ我が百名山の旅は塩見岳で終了するが、今年の夏はオリパラのボランティアで7月〜8月は忙しかった。 最初はオリンピックとパラリンピックの間のお盆休み付近で予定していたが、記録的な大雨で各地で土砂崩れ、 中央道も岡谷〜間で通行止めとなる始末。よって、日程をパラリンピックが終わった後に延期した。
 また姫路に住む元ワングルのUさんと一緒に行くこととなっていたので、彼と調整して9月7日からということで、 遅い夏季休暇を7日~9日の3日間で申請した。 ただまだ9月になったばかりというのに、天気予報では秋雨前線が停滞ということで気になっていた。
【9/6(月) 雨のち晴れ、微風】
 Uさんと塩見岳登山口にあたる鳥倉林道ゲート前の駐車場に18時集合としていた。 6日は月曜日で平日なので在宅勤務としていたが、朝9時からZoom会議が2件入っていて、それが終わったのは11時半。 それから急いで準備し結局自宅を出発したのは12時半であった。
 中央道の通行止めは解除されていたが、高速道を降りてから登山口の駐車場まで山の中を長い曲がりくねった林道なので、 明るいうちに着いておきたいという気持ちが先走っていた。高速を下りて町中のコンビニで食料調達を考えていたが、 中央道のインター付近はもう信州の田舎町のようなので、もしコンビニが見つからないのではと思い、駒ヶ岳SAで必要なものを仕入れた。
 松川インターチェンジを下りて松川市の町から大鹿村に出て、そこからの林道はやはり曲がりくねって長い道のりであった。 幸い道路は舗装されており道幅が狭いところもあまりなく、ようやく17時半には集合場所の登山口駐車場に到着した。
 駐車場には車は数台しか止まっていない。Uさんは姫路からであるがまだ到着していなかったが、しばらくして18時前にはやってきた。 久しぶりの再開で、車の中でビールを飲みながらコンビニ弁当を食べて9時頃までつもる話をしてそれぞれの車で寝た。 夜中に車の外に出てみると星空が広がっていた。

鳥倉林道ゲート前の駐車場

林道ゲート(ここから先は通行止め)
【9/7(火) 晴れのち曇り、微風】
 久しぶりにお酒を呑み過ぎたか朝5時頃までぐっすり、6時になって車の外に出ると駐車場には車が増えていた。しかし、8割程度か。 今日は余裕のある行程であるが、登山靴が底ゴムを張り替えたばかりのものをそのまま持ってきたので、靴紐を通すのに時間がかかり、 やっと7時過ぎになって出発した。
 最初は林道歩き、40分ほどしゃべりながらぶらぶら登っていくと案内標識のある登山口に着いた。

しばらく鳥倉林道を歩く

鳥倉林道登山口
 登山口から樹林帯の山道をしばらく登っていく。道はしっかりしている。

となりの稜線、青空が見えている

豊口山のコル
 5/10の標識を見て半分登ていることを知ったが、途中でこのような標識は見かけなかったが。

クガイソウ

やっと半分
 だんだん南アルプスらしい奥深い樹林帯の中の山道になり、途中で滑りそうな木道に時々出くわす。 見た目には今にも崩れそうであるが問題はない。

木道が崩れている

ほとけの清水
 やっと塩川・鳥倉ルートの合流点に出た。ここからは三伏峠小屋近い。

塩川・鳥倉ルート合流点

遠くの方に仙丈ヶ岳、北岳が見える
 三伏峠小屋にはコースタイムより少々時間がかかったが、途中の休憩時間を考えるとほぼコースタイムどおりか。 久しぶりのデカザックなのでまあいいか。さっそくチェックインして、小屋の前のテラスでコヒーを沸かし、朝食で残ったパンを昼食代わりに食べた。 小屋の前からは林間越しに塩見岳がちょこっと望めた。 かたわらにいた地元と思しきおじさんから「せっかくだからちょこっと行ってきなよ。」と軽く言われたが、とても今から行ける場所ではなく、疲れているので ここは明日のピストンに備え体力温存である。

三伏峠小屋に到着

林間から塩見岳が望めた
 我々は本館2階の広間に案内されたが他に宿泊客はいないようで、広い大広間の端に2人分のマットと毛布が割り当てられていた。 少々昼寝をした後、夕食まで時間があるので、酒を呑みながら時間をつぶす。 そのうち我々と同年配と思しき単独行の方が2階のとなりの部屋に割り当てられていた。 また夕食前になってツアー客なのか団体さんが10名ほど来られたが、1階の割り当てられたので、2階は広々としていた。
 夕食はエビフライ付きの定食で山小屋にしてはおいしかった。 食べ終わって2階にあがり、ここで肝心なヘッドライトを忘れたことに気付き、Uさんから予備のペンライトを貸してもらう。 明日は出来る限り早く出発することとして、7時頃には眠りについた。
【9/8(水) 曇りのち雨、微風】
 4時に起床、朝食は弁当なので、支度してさっそく出かける。小屋の外に出るとまだ暗い。それにあたりは霧が立ち込めている。 暗い中の出発で、ここはUさんから貸してもらったペンライトを頼りにヘッドライトをしたUさんの後について登る。
 次第に明るくなったが、周りは何も見えず。途中に本谷山の道標に出くわし、その標識で確かに塩見岳を登っているのを確認するのであった。

本谷山

道標
 本谷山から道はトラバースとなりあまりアップダウンはなく、ゴーロというところを経てから急な登りとなる。 塩見小屋の小さな標識が出てきて左手に小屋の屋根が見えたが、休憩を取らずにそのまま塩見岳を目指す。
 塩見小屋からはハイ松帯で、稜線に出たせいか風が強くなる。また手も少々冷たくなってきた。 天狗岩の手間でヤッケと手袋を取り出すも強風と濡れているせいかなかなかヤッケを着ることができない。 手袋もなかなか手に入らなく、右手だけはめて左手は諦めた。 天狗岩からはちょっとした岩場になるが、手でホールドするところが分かるので、そんなに危険はない。 それよりも強風で気持ちが萎えてくる。岩場を通り過ぎると普通の登山道の登りとなり、やっと山頂に到着。
 当然ながら、ガスで何も見えず。それよりも登りでかいた汗が強風で冷えて身体の熱が急速に奪われる。 急いでダウンジャケットを着こんだが、なかなか温まらない。とても百名山達成などと祝ってられる状況ではない。

塩見小屋付近、ガスと風が強くなる

やっと山頂
 上を見上げるとかすかに太陽光線らしきものが一瞬見えたようであったが、どんどん身体が冷えてくる。 お互い山頂標識をバックに記念写真を撮影してすぐに下山に取り掛かる。 するとふたり連れの登山者が登ってきたので、彼らに頼んでふたりの記念写真を撮ってもらいそうそうに退散した。
 強風の中、岩場を慎重に下り、塩見小屋に着くと風はなかった。 塩見小屋では三伏峠小屋に宿泊したツアー客であろうか、まさに塩見岳を目指す準備中であった。 ガイドらしき人がツアー客にヘルメット着用の仕方などを講義していた。ヘルメットにタオルの付け方などやはりやり方があるんだと参考になった。 塩見小屋で残った朝食弁当のおにぎりを食べ、ひたすら三伏峠小屋に向け下山する。

しばらくすると二人連れが登ってきました

塩見小屋でツアー客、これから塩見岳へ
 塩見小屋から下ってゴーロにくると樹林帯に入り、風はまったくなくなった。当然相変わらず何も見えない。

曲がりくねった木

本谷山
 途中で雨に合わないか気になり、休憩もそこそこにひたすら下山する。本谷山、三伏山を経て午後1時前には三伏峠小屋に到着した。 到着してしばらくして雨が降ってきて、やがて雨は本降りとなった。

三伏山

三伏峠小屋にに戻ってきました
 小屋の食堂でうどんを食べるもなぜか寒い。気温が下がっている。 夕食は5時ということなので、2階の大広間で寝ながら待つ。 スマホで天気予報を見るもあまり芳しくない。しかし、だんだん快復する予報。 夕食もおいしかったが、食堂が寒いのと客が我々2人だけということでちょっと寂しい。 小屋の人に明日の朝食を6時にしてもらい、できるだけ遅く出発する旨を伝える。
 2階にあがると屋根にあたる雨の音で、明日の行動が思いやられる。
【9/9(木) 雨のち曇り、微風】
 朝起きて小屋の玄関を出るとやはり本降りの雨。 朝食を食べ、待っていても止みそうもないのでいよいよ覚悟を決めて上下のカッパ、ザックカバーを装着して出発。
 外に出て、久しぶりの雨の中の山行。幸い昨夜から気温が上がったせいか寒くないので助かる。

崩れた木道を慎重に下る

キノコ発見
 雨に濡れた木道も登山靴の靴底を新調したので滑らずに快適に下れた。 小屋を出る時にしっかり準備したせいか、雨は身体の中まで浸透せず、そんなに気持ちが悪いものではない。 雨の中の山行も諦めて覚悟すると趣があるなという気分にもなる。

雨の林間

ひたすら下るすぐ
 雨の中の下山道は少々長く感じたが、登山口に出てきてやっと今回の山行のひと山を越した気になった。 雨も止んでリラックスした気分で林道を歩いているとじっとウシガエルが我々を出迎えてくれていた。

登山口に出ました

ウシカエルがお出迎え
 駐車場に着いて自分の車に到着し、カッパを脱ぎ捨て濡れた登山靴を乾いたシューズに履き替えると、やっと都会の自分に戻った。

駐車場に戻ってきました

雨もあがり、あたりは少々明るくなりました。
 曲がりくねった長い林道を慎重に運転し、やっとふもとの大鹿村の広い道路に出て「歌舞伎の里」という道の駅に立ち寄った。 そこで地元のお土産を購入し、日帰り温泉として望岳荘を紹介してもらった。 山から下るにつれ雨もあがり望岳荘に着くと青空、それに夏の日差しが降り注いで暑い。
 望岳荘の大浴場からはガラス越しに中央アルプスがすべて見渡せ圧巻である。 ただし山の稜線には雲がかかっていた。温泉でさっぱりしてからしてそこの食堂で信州ざる蕎麦を賞味した。サラダはお代わり自由。
感想
 さて塩見岳登頂で百名山を制覇したことになるが、やっと肩の荷が下りた、という感じである。 それにしても今回の塩見岳は少々きつかった。雨で何も見えず、それに強風ということで、とても一人では気持ちが萎えていたと思う。 元山岳部のUさんがいたので何げなしに達成することが出来た。それにしても三伏峠小屋から4時間で塩見岳登頂出来たことは私には画期的な記録であった。 いくら空荷とはいえ、また雨の心配があったとはいえ、休憩もそこそこにひたすら歩き、登り続ける行軍であった。 また登っている最中にいつも山仲間からLINEで応援メッセージをいただき、それにも励まされた。 山頂ではあまり長居が出来なかったが、その場所にいると低体温症になるんじゃないかと思うほど身体が冷えた。 やはり3,000m級の山を甘く見てはいけないと思うのであった。
 下山して伊那に住む先輩宅に立ち寄り、お祝いにと美味しそうなスパークリングワインをいただき、やっと百名山達成の実感が湧いてきた。 これまで山行では常に百名山ばかり気になっていたが、これからは好きなところに好きな時期にのんびり行きたいと思う。

 塩見岳 パート2へ
 ホームへ